填める(読み)はめる

精選版 日本国語大辞典 「填める」の意味・読み・例文・類語

は・める【填・嵌】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]は・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. 落としこむ。投げ入れる。また、身を投げる。
    1. [初出の実例]「鶯の鳴くくら谷に打ち波米(ハメ)て焼けは死ぬとも君をし待たむ」(出典:万葉集(8C後)一七・三九四一)
    2. 「ひょいと抱上げて、ドブンと川に溺(ハ)める」(出典:日本橋(1914)〈泉鏡花〉五七)
  3. 物の内側に、あるいは表面にぴったりと合うように入れる。さし入れる。さしこむ。うめる。「桶(おけ)に箍(たが)をはめる」 〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「白い手━手套を穿(ハ)めない━を角燈が照らした」(出典:それから(1909)〈夏目漱石〉四)
  4. 条件に合わせてうまく入れる。
    1. [初出の実例]「どうぞあんばいのよい所へ、はめたい物じゃと」(出典:咄本・軽口大黒柱(1773)四)
    2. 「妙な役廻にはめられる者だ」(出典:第三者(1903)〈国木田独歩〉一)
  5. とりつける。つがえる。
    1. [初出の実例]「さあらば、ゆみに、やをはめて、かごのかづらを、いきらばや」(出典:御伽草子・藤袋の草子(室町時代物語大成所収)(室町末))
  6. 性交する。
    1. [初出の実例]「入るたてる寐るのるはめる直に百」(出典:雑俳・柳多留‐九一(1826))
  7. いっぱいくわせる。だます。欺く。
    1. [初出の実例]「是は命をとり給ふと人をはめて我たのしみ」(出典:浮世草子・新吉原常々草(1689)上)
  8. 深入りさせる。溺れさせる。
    1. [初出の実例]「嘉平次故に身をはめて、かはるまいとの七枚起請」(出典:浄瑠璃・生玉心中(1715か)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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