精選版 日本国語大辞典 「填める」の意味・読み・例文・類語
は・める【填・嵌】
- 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
[ 文語形 ]は・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 - ① 落としこむ。投げ入れる。また、身を投げる。
- ② 物の内側に、あるいは表面にぴったりと合うように入れる。さし入れる。さしこむ。うめる。「桶(おけ)に箍(たが)をはめる」 〔名語記(1275)〕
- [初出の実例]「白い手━手套を穿(ハ)めない━を角燈が照らした」(出典:それから(1909)〈夏目漱石〉四)
- ③ 条件に合わせてうまく入れる。
- [初出の実例]「どうぞあんばいのよい所へ、はめたい物じゃと」(出典:咄本・軽口大黒柱(1773)四)
- 「妙な役廻にはめられる者だ」(出典:第三者(1903)〈国木田独歩〉一)
- ④ とりつける。つがえる。
- [初出の実例]「さあらば、ゆみに、やをはめて、かごのかづらを、いきらばや」(出典:御伽草子・藤袋の草子(室町時代物語大成所収)(室町末))
- ⑤ 性交する。
- [初出の実例]「入るたてる寐るのるはめる直に百」(出典:雑俳・柳多留‐九一(1826))
- ⑥ いっぱいくわせる。だます。欺く。
- [初出の実例]「是は命をとり給ふと人をはめて我たのしみ」(出典:浮世草子・新吉原常々草(1689)上)
- ⑦ 深入りさせる。溺れさせる。
- [初出の実例]「嘉平次故に身をはめて、かはるまいとの七枚起請」(出典:浄瑠璃・生玉心中(1715か)下)