日本大百科全書(ニッポニカ) 「大ロンドン」の意味・わかりやすい解説
大ロンドン
だいろんどん
Greater London
イギリスの首都ロンドン全体をさす名称。32の区BoroughとシティCityからなり、全域を管轄する自治体はGreat London Authority(大ロンドン行政府、大ロンドン市。GLAと略記)とよばれる。面積1580平方キロメートル。人口717万2036(2001)、人口密度1平方キロメートル当り4539人。
「大ロンドン」は、1965年、ロンドン州London County(Inner London)に都市化が進んだ周辺大都市圏(Outer London)を加えて「Great London Council(大ロンドン協議会、大ロンドン都市圏。GLCと略記)」として誕生したが、1986年サッチャー保守党政権の地方行政効率化政策により廃止された。これにより「大ロンドン」を統括する行政機関はなくなり、行政権は32の区とシティに分割されることになった。しかし、「大ロンドン」の広域をカバーする自治体の必要性が指摘され、このことを労働党が問題視した。1997年首相ブレアのもと労働党政権が復活、公約にしていた「大ロンドン市議会」の復活のための住民投票が翌1998年5月に実施された。約4分の3の賛成を得て20世紀中に大ロンドンを統括する広域自治体GLAが再登場することになった。これが現在の大ロンドンである。1999年大ロンドン法制定。2000年、市長・議員選が行われ、ケン・リビングストンKen Livingstone(1945― )が市長に選出された。
[久保田武]