大名田堵(読み)だいみょうたと

山川 日本史小辞典 改訂新版 「大名田堵」の解説

大名田堵
だいみょうたと

大名とも。平安中期,荘園公領で多くの土地を請作して大規模経営を行う田堵のこと。1町以下の小名田堵に対する語で,数町にわたる請作者をさしていう。11世紀半ば成立の「新猿楽記」には,出羽権介田中豊益(とよます)という人物が登場し,耕農を業として地味をはかり,自力で灌漑施設を整備する一方で,農具を調え,田夫・農人を使役して農業経営を積極的に行い,富を集積する理想の大名田堵として描かれている。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大名田堵の言及

【国衙領】より

…また各郡郷の公田のうちの良田を割いて,国司らの直営田である〈(つくだ)〉が分散設置され,公領支配の中核的役割をはたした。国内各地には〈国人〉とか〈国の内の然るべき者〉と呼ばれた有勢な在地勢力がおり,彼らは〈大名田堵〉としてめでたい〈仮名(けみよう)〉を名のり,公田を大規模に請作したが,彼らとのかかわりは国司支配の成否を左右する重大事であった。国司はこのような有力者に対して,個別に〈国宣〉を発してその掌握につとめたが,彼らはしばしば国務を妨げ,国司の苛政を上訴し,あるいは公田を蚕食して荘園を乱立させる主体となった。…

※「大名田堵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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