コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

新猿楽記 しんさるがくき

6件 の用語解説(新猿楽記の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

新猿楽記
しんさるがくき

猿楽芸に関する最古の書。藤原明衡著。静嘉堂文庫に写本が2部あるのみで,群書類従本系統のほかに異本は知られていない。その前半に,平安時代中期とみられている猿楽者の百丈,仁南,定縁,懸井戸先生などの芸評や,猿楽雑伎として咒師 (のろんじ) ,侏儒舞 (ひきひとまい) ,田楽,品玉 (しなだま) などの曲芸や「福広聖之袈裟求 (ふくこうひじりのけさもとめ) 」や「妙高尼之襁褓乞 (むつきごい) 」などの滑稽物まね芸の名称があげられている。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

しんさるがくき【新猿楽記】

平安後期の随筆。1巻。藤原明衡(ふじわらのあきひら)著。康平年間(1058~1065)の成立か。猿楽見物の一家に託し、当時の庶民の風俗などを漢文で描く。生活史料として重要。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

新猿楽記【しんさるがくき】

平安後期の漢文体の芸能の記。1巻。藤原明衡(あきひら)作。当時都で流行していた猿楽の種類をあげて芸人を評したのち,見物人の様子を述べ,観衆の一人である右衛門尉(うえもんのじょう)の家族を紹介する形で当時の人事全般にわたる様々な事物の名称や所作を列挙する。
→関連項目京童粉河寺千秋万歳

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

しんさるがくき【新猿楽記】

平安後期の漢文体記類作品。藤原明衡(あきひら)の著。1052年(永承7)前後の成立と考えられる。その内容は,初めに当時都で流行した散楽(さるがく)雑技ことに新猿楽について,曲の種類や芸人の巧拙,観衆の反応などを論じた後,ある夜の猿楽見物の観衆の一人である西の京の右衛門尉(じよう)一家33人を,ひとりひとり紹介してゆくという設定である。 右衛門尉には3人の妻,16人の娘とその夫,9人の男子があり,それぞれに異なった職業を持ち,性格も違っているが,それらを,関連する事物の名称とともに滑稽をまじえて列挙してゆく。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

しんさるがくき【新猿楽記】

漢文随筆。一巻。藤原明衡著。康平年間(1058~1065)の成立か。猿楽の種類・演者などについて記し、さらに、猿楽見物に来た右衛門尉の家族の描写を通して一般人の生活様式を述べる。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

新猿楽記
しんさるがくき

平安後期の記録書。1巻。漢文。藤原明衡(あきひら)(989?―1066)作。成立未詳。猿楽は平安時代におこった滑稽(こっけい)な大衆芸能であるが、本書は最初猿楽の演戯について、人形操りや曲芸、物真似(ものまね)などの形態を並べ、次に猿楽の名人を列挙してその芸態を論評する。そして見物人の右衛門尉(うえもんのじょう)一家の家族構成と生活態度、容貌(ようぼう)およびそれに関係ある事物の品目を28条にわたって列挙する。老妻や遊女の姿態、弓箭(きゅうせん)、相撲(すもう)の技、学者・医師の学業、真言・天台僧の行、農耕、工匠の技、仏師・絵師の芸、諸国の物産や交易品目など都の人事全般の事物の名称や所作が列挙されており、演劇の資料としてだけではなく、当時の社会状態や庶民生活を知るための貴重な文献である。[大曽根章介]
『川口久雄訳注『新猿楽記』(平凡社・東洋文庫) ▽重松明久校注『新猿楽記・雲州消息』(1982・現代思潮社・古典文庫) ▽大曽根章介校注「新猿楽記」(『日本思想大系8』所収・1979・岩波書店)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の新猿楽記の言及

【歌謡】より

…歌詞は七五調4句を基本とする短詩型で,後白河院はことに今様を愛好し560余首からなる《梁塵秘抄(りようじんひしよう)》(1179ころ)を編んでいる。なお今様を含めた当時のさまざまな歌舞音曲は,〈雑芸(ぞうげい)〉〈郢曲(えいきよく)〉とも称されており,その多彩な演目と活況を藤原明衡(あきひら)の《新猿楽記(しんさるがくき)》(11世紀中葉)にみることができる。 中世(12~16世紀)に入ると鎌倉武士を中心に宴席の歌曲として〈宴曲(えんきよく)〉が行われた。…

【狂言】より

…アメノウズメノミコトの岩戸舞をはじめ,《古事記》《日本書紀》の伝承の中には喜劇的所作を伴うと思われるものがいくつか見いだせる。だがそれがまとまった芸態として記された例となると,平安中期の藤原明衡(あきひら)作と伝える《新猿楽記》まで下らねばならない。そこには京の街で演じられた猿楽として〈妙高尼の襁褓(むつき)乞い〉〈東人の初京上り〉といった滑稽技と,それを演じた役者の名が記されている。…

【在庁官人】より

… この在庁官人が担うところとなった該時期の国衙機構は多く検田所,収納所をはじめとした分課的な(ところ)により構成されていた。11世紀初頭の成立と伝えられる往来物《新猿楽記》にも〈四郎君は受領の郎等,刺史執鞭の図なり。……是以凡そ庁の目代,もしくは済所,案主,健児所,検非違所,田所,出納所,調所(ずしよ),細工所,修理等,もしくは御厩,小舎人所,膳所,政所,或は目代或は別当,いはむや田使,収納,交易,佃,臨時雑役等の使においては,望まざるに自ら懸け預るところなり〉とあり在庁内における活動のありさまをうかがうことができる。…

【猿楽】より

…表記も〈さるがく〉〈さるがう〉〈猿楽〉などと見え,〈さるがうこと〉(《枕草子》104段),〈さるがうがまし〉(《源氏物語》少女)などという用例が,滑稽なしぐさやせりふを意味するのは,当時の〈さるがく〉の芸態の変貌をものがたっていよう。平安末期の藤原明衡(あきひら)の《雲州消息》や《新猿楽記》にも同じ事情をものがたる記載がある。《新猿楽記》には,〈呪師(しゆし)〉〈侏儒舞(ひきうどまい)〉〈田楽(でんがく)〉〈傀儡(くぐつ)〉などをも含み,猿楽が諸雑芸の総称ででもあったらしいことが知られるとともに,その記載の題目から,物まね芸を主軸として笑いを誘う類の芸,のちの〈狂言〉の源流となる性格のものを,多分に含んでいたことが知られる。…

【調所】より

…所にはこの調所のほか検田所,収納所,税所(さいしよ),田所(たどころ)などの機関が存在した。11世紀初頭の成立とされる藤原明衡の《新猿楽記》にもこうした国衙内の〈所〉の存在が指摘されている。国衙における調所の史料上の初見は,1058年(康平1)の丹波国高津郷司解である。…

【泥鰌掬】より

…滑稽(こつけい)な振りで人気が高い。こうした小魚などをすくい取るしぐさは昔から滑稽なものとされていたようで,平安後期の《新猿楽記》には〈断腸解頤〉の芸として〈蝦漉舎人之足仕(えびすきとねりのあしづかい)〉が挙げられており,《梁塵秘抄》にも〈海老漉舎人,小魚(さい)漉舎人〉が見える。〈安来節〉のどじょうすくいは元来出雲の飯石,能義,仁多,大原,鳥取県の日野地方から産出する砂鉄採取のための〈土壌すくい〉から発生したといい,元歌には〈ヤサホヤサホと鉄積んで〉という歌詞がある。…

【琵琶法師】より

…蟬丸は琵琶法師の祖とされ,醍醐帝第4の皇子という伝承を生むが,一方彼らの自治組織ともいうべき〈当道(とうどう)〉では,仁明天皇第四皇子人康(さねやす)親王を祖神とし,天夜(あまよ)尊としてまつる。散逸した《小右記》には寛和元年(985)7月18日条に,琵琶法師を召して才芸を尽くさしめたことが記されていたといい(《花鳥余情》),《新猿楽記》にも〈琵琶法師之物語〉とあるから,平安時代に叙事詩を語って活躍したことは確かである。鎌倉時代に軍記物語が生まれると彼らは《平家物語》を表芸として語り(平曲),その内容をより豊かにした。…

【万歳】より

…正月に家々の座敷や門口で予祝の祝言を述べたてるもので,〈千秋万歳(せんずまんざい)〉の末流と考えられる。平安時代後期成立の《新猿楽記》には〈千秋万歳之酒禱(さかほがい)〉と見え,千秋万歳はこのころすでに職能として存在していたと思われる。鎌倉時代以降には宮中をはじめ寺社,武家などの権門を訪れるようになり,室町時代の中ごろには一般の民家にも門付してまわるようになった(《臥雲(がうん)日件録》)。…

※「新猿楽記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

新猿楽記の関連キーワード変体漢文本朝文粋明衡往来漢文崩し漢文体四六文和文体藤原顕家(1)藤原実行明暹

今日のキーワード

災害派遣

天災地変その他の災害に際して,人命または財産の保護のために行なわれる自衛隊の派遣。災害出動ともいう。都道府県知事などの要請に基づいて,防衛大臣が派遣することを原則とするが,特に緊急を要する場合,要請を...

続きを読む

コトバンク for iPhone

新猿楽記の関連情報