大尺(読み)だいしゃく

精選版 日本国語大辞典 「大尺」の意味・読み・例文・類語

だい‐しゃく【大尺】

〘名〙
令制の長さの単位。令では尺を大尺と小尺に二分し、大尺は測地尺として用い、他は小尺を使うと規定した。小尺一尺二寸が大尺一尺に相当する。この令の大尺は、令制以前から存在したとみられる高麗尺(こまじゃく)のことであり、小尺は和銅の大尺となった。〔令義解(718)〕
② 和銅六年(七一三)改定された長さの単位。令の小尺を改めて大尺とした。令の小尺すなわち和銅の大尺が天平尺で、のちの曲尺源流となった。ただし、天平尺は曲尺よりもやや短く、曲尺の九寸八分(二九・七センチメートル)程度とみられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大尺の言及

【高麗尺】より

…701年(大宝1)の大宝律令には度量衡規制を明文化し,大・小尺を制定する。大尺はいわゆる東魏尺にあたる高麗尺で,小尺とされた唐尺の1.2倍の長さをもち,大・小尺をそれぞれ測地と常用の二様に使い分けることを規定している。平城遷都後の713年(和銅6)には高麗尺を廃止し,唐尺の一本建てになった。…

【唐尺】より

…中国の唐で使用された尺度。日本では大宝律令(701)の度量衡規制に大・小尺の制を定め,高麗尺(こまじやく)を大尺,唐尺を小尺とし,小尺(常用尺)の1.2倍を大尺(測地尺)と規定した。668年(天智7)の船王後墓誌(ふねのおうごのぼし)は唐尺の使用年代の上限とされるが,四天王寺(7世紀前半),前期難波宮(7世紀中ごろ),川原寺(7世紀後半)の造営には唐尺の使用も認められ,7世紀を通して高麗尺,唐尺の両様を使い分けたらしい。…

【ものさし(物差∥物指)】より

…大宝令は現存しないが,その規定は養老令と同一であった。長さに関する規定をみると,10分を1寸,10寸を1尺,1尺2寸を大尺1尺,10尺を1丈とする単位,進法であり,また土地の測量には大尺を使用し,他はすべて小尺を用いると見えるほか,関係官司には銅製の標準計器支給の条文も見えている。この大尺は高麗(こま)尺に,小尺は唐の大尺に相当し(唐尺),したがって大宝令制の尺は唐のそれと1対1.2の比で日本の尺のほうが長かったが,後,尺を唐制に一致させようとする動きがあり,そのため713年(和銅6)に大尺=唐大尺,小尺=唐小尺とし,唐制と一致することになった。…

※「大尺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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