直角定規を兼ねた金属性のものさしをいう場合と,尺の単位で目盛られたものさしをいう場合の二通りある。
(1)直角定規を兼ねた金属性のものさし。直角をだすための木工用の道具を古く中国では矩といい,帯状の薄い金属板を直角に曲げた形に作ってあり,これに目盛をつけたものであり,かねざし,曲り尺ともいい,矩尺,鉄尺などとも書いた。長短2本の枝から成り,1尺2寸ないし1尺6寸程度の長さの長枝(ちようし)(長手(ながて))とその半分程度の長さの短枝(妻手(つまで))とから成り,幅は5分,厚さは2厘ないし3厘であり,古くは真鍮(しんちゆう)や鋼で,最近はステンレス鋼で作られる。適度の弾性をもたせるためその断面は一般に長方形ではない。長枝を左手で短枝を右手で持ったとき手前に見える面,すなわちΓ(ガンマ)の字に見える面を表といい,その反対の面を裏という。表の面の外側には長枝・短枝とも正規の長さの単位の目盛が刻まれており,裏の面の短枝の外側の目盛も同様である。しかし裏の面の長枝の外側には正規の目盛の\(\sqrt{2}\)倍,すなわち約1.414倍の目盛がつけてある。これを角目(かどめ)といい,この目盛を原木の直径に当てれば,そこから取れる角材の幅を直読することができる。また裏の面の短枝の内側などに正規の目盛を円周率π(約3.14)で割った大きさの目盛がつけてあるものがある。この目盛を丸目といい,丸材の直径に当てれば,その丸材の周囲の長さを知ることができる。曲尺は従来尺貫法の尺で目盛られていたが,近年,メートル法によるものが作られるようになり,金属製の角度つきのものさしを曲尺と書いて,きょくしゃくと呼ぶこともある。これは直尺や巻尺などに対応することばで,形状による分類であり,目盛に無関係である。
(2)尺目盛のものさし。曲尺と書くが,形状には無関係で,尺貫法の正規の尺の単位で目盛られたものさしをいう。木工用のかねざしにこの単位の目盛がつけられていたことに由来し,鯨尺やメートル尺と区別される。
執筆者:三宅 史
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…この目盛を丸目といい,丸材の直径に当てれば,その丸材の周囲の長さを知ることができる。曲尺は従来尺貫法の尺で目盛られていたが,近年,メートル法によるものが作られるようになり,金属製の角度つきのものさしを曲尺と書いて,きょくしゃくと呼ぶこともある。これは直尺や巻尺などに対応することばで,形状による分類であり,目盛に無関係である。…
… これらの単位は7世紀中国の唐令にならったものと見られているが,相違点もあり,また度,量,衡とも大小2系統あり,基準器も伝わっておらず,実際の大きさはわかっていない。東大寺所蔵の尺八などの計測から当時の大尺1尺は近代の曲尺(かねじやく)の約9寸7分であり,正倉院文書の記録などから大升1升は近代の約4合であったと推定されている。他方,質量の単位は日本を含め東洋では安定に保たれ,隋・唐以降1両は37.5g前後であったという。…
…角目は丸材の直径をはかってそれから得られる角材の1辺の長さを知るための目盛で,実目盛に対して倍に目盛られている。丸目は実目盛に対して1/π倍に目盛られている(曲尺(かねじやく))。 たたみ尺は数片を連接して折りたためるようにしたものさしで,折り尺,箱尺,スタジア尺などがある。…
※「曲尺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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