曲尺(読み)カネジャク

デジタル大辞泉 「曲尺」の意味・読み・例文・類語

かね‐じゃく【曲尺/×矩尺】

直角に折れ曲がった形に作り、表には正規の目盛り表目おもてめを、裏にはその倍(角目かくめ)や1/π倍などの目盛りを刻んだ金属製の物差し直角定規を兼ね、木工・建築で用いる。大工金だいくがね。曲がり金。差し金。かねざし。かね。きょくしゃく。
長さの単位の一。1尺は約30.3センチ。日本の伝統的尺度で、古代からほとんど変わっていない。
[類語]物差し差し矩差かねざし差し金鯨尺鯨差し巻き尺メジャー

きょく‐しゃく【曲尺】

かねじゃく(曲尺)

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精選版 日本国語大辞典 「曲尺」の意味・読み・例文・類語

かね‐じゃく【曲尺・矩尺】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 大工、木挽(こび)き、杣(そま)、建て師などの木工職人が使う、定規を兼ねた物差し。L型の金属板で、表の長い方には一尺五寸、短い方に七寸五分、裏には一尺を√2倍した目を盛る。まがりがね。かねざし。大工がね。かね。
    1. [初出の実例]「曲尺弐勾(長一尺七寸九分、一長一尺九寸五分)」(出典:東京芸術大学所蔵文書‐延喜五年(905)一〇月一日・筑前国観世音寺資財帳)
  3. 鯨尺(くじらじゃく)の八寸を一尺とした尺度の物差し。明治七年(一八七四)に定められた原器の長さは約三〇・三センチメートル。また、それを用いた測り方。かねざし。かね。
    1. [初出の実例]「くじら尺、呉服尺といふを大尺といふ。かね尺を小尺と云事、令に有と云へり」(出典:随筆・卯花園漫録(1809)一)

きょく‐しゃく【曲尺】

  1. 〘 名詞 〙まがりじゃく(曲尺)
    1. [初出の実例]「或は曲尺を呑み或は活魚を噴く。其れ奇其れ妙〈略〉世に之を弄珠師(〈注〉しなたまてじな)と謂ふ」(出典:東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉三)

まがり‐じゃく【曲尺】

  1. 〘 名詞 〙まがりがね(曲尺)

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改訂新版 世界大百科事典 「曲尺」の意味・わかりやすい解説

曲尺 (かねじゃく)

直角定規を兼ねた金属性のものさしをいう場合と,尺の単位で目盛られたものさしをいう場合の二通りある。

(1)直角定規を兼ねた金属性のものさし。直角をだすための木工用の道具を古く中国では矩といい,帯状の薄い金属板を直角に曲げた形に作ってあり,これに目盛をつけたものであり,かねざし,曲り尺ともいい,矩尺,鉄尺などとも書いた。長短2本の枝から成り,1尺2寸ないし1尺6寸程度の長さの長枝(ちようし)(長手(ながて))とその半分程度の長さの短枝(妻手(つまで))とから成り,幅は5分,厚さは2厘ないし3厘であり,古くは真鍮(しんちゆう)や鋼で,最近はステンレス鋼で作られる。適度の弾性をもたせるためその断面は一般に長方形ではない。長枝を左手で短枝を右手で持ったとき手前に見える面,すなわちΓ(ガンマ)の字に見える面を表といい,その反対の面を裏という。表の面の外側には長枝・短枝とも正規の長さの単位の目盛が刻まれており,裏の面の短枝の外側の目盛も同様である。しかし裏の面の長枝の外側には正規の目盛の\(\sqrt{2}\)倍,すなわち約1.414倍の目盛がつけてある。これを角目(かどめ)といい,この目盛を原木の直径に当てれば,そこから取れる角材の幅を直読することができる。また裏の面の短枝の内側などに正規の目盛を円周率π(約3.14)で割った大きさの目盛がつけてあるものがある。この目盛を丸目といい,丸材の直径に当てれば,その丸材の周囲の長さを知ることができる。曲尺は従来尺貫法の尺で目盛られていたが,近年,メートル法によるものが作られるようになり,金属製の角度つきのものさしを曲尺と書いて,きょくしゃくと呼ぶこともある。これは直尺巻尺などに対応することばで,形状による分類であり,目盛に無関係である。

(2)尺目盛のものさし。曲尺と書くが,形状には無関係で,尺貫法の正規の尺の単位で目盛られたものさしをいう。木工用のかねざしにこの単位の目盛がつけられていたことに由来し,鯨尺やメートル尺と区別される。
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曲尺 (きょくしゃく)

曲尺(かねじゃく)

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百科事典マイペディア 「曲尺」の意味・わかりやすい解説

曲尺【かねじゃく】

(1)差金(さしがね)とも。L字形の金属性のものさし。長いほうを長手(ながて),短いほうを妻手(つまで)または横手という。裏に(式1)倍などの目盛を刻んであるので,原木の直径から取れる角材の幅を知るなど用途が広い。(2)尺貫法の長さの単位である〈尺〉で目盛られたものさし。
→関連項目規矩術木工具

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「曲尺」の解説

かねじゃく【曲尺/矩尺】

直角に曲がった金属製物差し。主として大工などの職人が用いる。表側はメートル法でミリ単位、裏側は表の目盛りに&√2;をかけた数(角目)と円周率で割った数(丸目)の目盛りが付き、丸太(まるた)の直径にあてれば、そこからとれる角材の一辺の長さや、その丸太の円周が瞬時にわかる。◇「指矩(さしがね)」「曲がり金」などともいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「曲尺」の意味・わかりやすい解説

曲尺
かねじゃく

矩尺とも書き,指金 (さしがね) ,かねざし,まがりがねなどともいう。大工職などの使うものさし。直角に曲り L 字形をしている。表目盛りと裏目盛りがあり,表目盛りは尺 (現在はメートル法) で普通の目盛り。裏目盛りは表目盛りの √2 倍の目盛りが刻まれている。

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普及版 字通 「曲尺」の読み・字形・画数・意味

【曲尺】きよくしやく

かねざし。

字通「曲」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の曲尺の言及

【曲尺】より

…この目盛を丸目といい,丸材の直径に当てれば,その丸材の周囲の長さを知ることができる。曲尺は従来尺貫法の尺で目盛られていたが,近年,メートル法によるものが作られるようになり,金属製の角度つきのものさしを曲尺と書いて,きょくしゃくと呼ぶこともある。これは直尺や巻尺などに対応することばで,形状による分類であり,目盛に無関係である。…

【尺貫法】より

… これらの単位は7世紀中国の唐令にならったものと見られているが,相違点もあり,また度,量,衡とも大小2系統あり,基準器も伝わっておらず,実際の大きさはわかっていない。東大寺所蔵の尺八などの計測から当時の大尺1尺は近代の曲尺(かねじやく)の約9寸7分であり,正倉院文書の記録などから大升1升は近代の約4合であったと推定されている。他方,質量の単位は日本を含め東洋では安定に保たれ,隋・唐以降1両は37.5g前後であったという。…

【ものさし(物差∥物指)】より

…角目は丸材の直径をはかってそれから得られる角材の1辺の長さを知るための目盛で,実目盛に対して倍に目盛られている。丸目は実目盛に対して1/π倍に目盛られている(曲尺(かねじやく))。 たたみ尺は数片を連接して折りたためるようにしたものさしで,折り尺,箱尺,スタジア尺などがある。…

※「曲尺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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