朝日日本歴史人物事典 「大江佐国」の解説
大江佐国
平安後期の漢詩人。朝綱の曾孫,通直の子。長元7(1034)年から応徳3(1086)年の間,資料に所見がある。大学寮を経て官途に就く。官歴も明らかでないが,長く掃部頭にあり,晩年に至るまで不遇を嘆いている。惟宗孝言と親しく,またよきライバルでもあった。『後拾遺集』選者藤原通俊の師匠で選集を手助けした。詩文は四十数首が残り,『恵心僧都伝』を著したが,散佚。花を愛し,「六十余回看れども未だ飽かず,他生定めて花を愛する人と作らん」と詠み,その花に対する執着によって死後蝶に生まれ変わったというエピソードを残している。
(後藤昭雄)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報