本朝無題詩(読み)ほんちょうむだいし

百科事典マイペディアの解説

本朝無題詩【ほんちょうむだいし】

平安末期の漢詩集。3巻本と10巻本とがある。選者不詳。平安時代後期の詩人30人の詩を集めたもので,藤原式家(藤原四家)とその周辺の詩人の作が大半を占める。無題とは5字の句題に対して6字以上の題のことをいうが,本書では4字以下の非句題や賦物題の詩も収める。地方の風景や庶民の生活を題材にした詩があるなど新しい文学の萌芽が見られ,注目される。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほんちょうむだいし【本朝無題詩】

平安朝末期の漢詩集。1162‐64年(応保2‐長寛2)前後に成立か。撰者未詳だが,藤原周光(ちかみつ)が有力視される。また藤原忠通が成立になんらか関与したと思われる。五,七言句題詩総集に対蹠的な概念として〈無題詩〉と名づけたもの。現存は10巻本と3巻本があり,七言律詩がほとんどで770首余を収める。周光,忠通,藤原敦光藤原明衡らの多数入集者のほか,当代の有力詩人を網羅。詠ずるのは,風月,詩魔,山居,飄泊,庶民,来迎などの世界で,王朝漢詩文が唯美的頽廃傾向に進む様相をうかがわせる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

本朝無題詩
ほんちょうむだいし

平安後期の漢詩集。10巻または三巻。1162年(応保2)から64年(長寛2)に成立か。句題(五字の題)以外の詩を集めたもの。平安後期の詩人30人の作品770余首を37部目に分類する。作者は藤原周光(ちかみつ)、忠通(ただみち)、敦光(あつみつ)、茂明(もちあきら)、明衡(あきひら)など藤原式家(しきけ)およびその縁者が中軸を占め、藤原忠通の意向によって編したものか。詩は七言律詩が圧倒的に多く、詩壇の傾向を示している。その世界も友人との詩宴、日常生活、山居生活への思慕、弥陀来迎(みだらいごう)の希求など多岐にわたるが、地方の風景の写実的描写や庶民生活の活写など、新しい文学の萌芽(ほうが)がみられ、貴重である。『群書類従 文筆部』所収。[大曽根章介]

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