精選版 日本国語大辞典 「藤原通俊」の意味・読み・例文・類語
ふじわら‐の‐みちとし【藤原通俊】
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平安後期の歌人。小野宮(おののみや)流の経平(つねひら)の子。実母は高階(たかしな)成順と伊勢大輔(いせのたいふ)との女(むすめ)であるともいう。父は受領(ずりょう)で経済力があり、その地位は兄通宗(みちむね)が継ぎ、通俊は、受領階層が時を得た趨勢(すうせい)に乗じて白河院に信任され、近臣として活躍し、昇進して従(じゅ)三位参議右大弁に至った。1075年(承保2)勅撰(ちょくせん)集の撰者を命ぜられ、86年(応徳3)『後拾遺(ごしゅうい)集』を撰進した。「ひとへにをかしき風体」を基調としたこの集は、歌壇に多くの論議を呼び起こした。『後拾遺集』完成への過程で源経信(つねのぶ)の意見を問うた『後拾遺問答』がある。87年に集を小改訂し、目録、序を作成。この後は多くの公事(くじ)に奉仕、能吏としての評価が高かった。有職(ゆうそく)故実に詳しく、漢詩文に優れ、大江匡房(おおえのまさふさ)と並称された。和歌は承保(じょうほう)2年(1075)、承暦(じょうりゃく)2年(1078)以下の歌合、『後拾遺集』以下の勅撰集にみえる。趣向や表現に新しさが感じられるが、理知的な傾向の歌が多い。歌論は「通宗朝臣(あそんの)女子達歌合(むすめたちのうたあわせ)」の判詞(はんし)にみえ、「歌めく」「めづらし」を重んじている。承徳(じょうとく)3年8月16日没。
[井上宗雄]
あなじ吹く瀬戸(せと)の潮合(しほあひ)に舟出(ふなで)してはやくぞ過ぐる佐屋形(さやかた)山を
『井上宗雄著『平安後期歌人伝の研究』(1978・笠間書院)』
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(渡辺晴美)
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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