…〈映画を単なる娯楽としてでなく,芸術と認識したインド最初の世代〉を代表する監督であり,インド映画に初めて国際的な高い評価をもたらした。処女作《大地のうた》(1955)が1955年度カンヌ映画祭の〈ヒューマン・ドキュメント賞〉をはじめとする12の賞を獲得して以来,《大河のうた》(1956)の57年度ベネチア映画祭グラン・プリ,《大都会》(1963)の64年度ベルリン映画祭グラン・プリ等々,次々と国際映画祭の賞をさらい,インド映画最高の巨匠とみなされるに至り,また日本の黒沢明と並んでアジアの生んだもっとも偉大な映画作家ともみなされている。 サタジット・レイの功績は,それまで歌と踊りが必ず入る夢物語のようなものだったインド映画に,現実を見据える日常的なリアリズムとそれをささえる高い精神性を根づかせた点にあり,それは彼が1950年にロンドンに渡ったときに見た,ビットリオ・デシーカ監督の《自転車泥棒》(1948)をはじめとするイタリアの〈ネオレアリズモ〉の映画から学んだものだとみずから証言している。…
※「大河のうた」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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