北海道中南部、十勝(とかち)総合振興局管内の町。1928年(昭和3)広尾(ひろお)村(現、広尾町)から分村、1949年忠類(ちゅうるい)村(現、幕別(まくべつ)町)を分離、1951年(昭和26)町制施行。町名はアイヌ語の「タイキ・ウシ」(ノミの多い所の意)に由来する。国道236号、336号が通じる。東部は太平洋、西部は日高山脈につながる東西に長い町で、山脈の水を集めた歴舟川(れきふねがわ)が東流して太平洋に注ぐ。冷害を被る畑作から畜産への転換が著しく進み、人口より乳牛頭数の多い酪農村である。耕地面積1万4600ヘクタールのうち85%は牧草地。農業生産額に占める畜産の割合は82.6%、うち乳牛73.5%、肉牛8.2%である(1993)。畑作は豆類、ビート(テンサイ)、ジャガイモが中心。漁業はサケ、マス、シシャモ、ホッキ、ツブ、ケガニなどの水揚げがある。道外資本による大牧場や競走馬牧場もある。原生花園散策、マリンスポーツ、釣りが楽しめるホロカヤントー、オイカマナイトーの二つの海跡湖があり、ホロカヤントー一帯は先住民の竪穴住居群遺跡となっている。清流歴舟川沿いにはカムイコタン農村公園キャンプ場、坂下仙峡などがあり、夏季には砂金掘りが体験できる。面積815.68平方キロメートル、人口5420(2020)。
[進藤賢一]
『『大樹町史』(1953・大樹町)』
北海道南東部,十勝支庁広尾郡の町。人口5977(2010)。十勝平野の南端にあり,西は日高山脈に属する山地である。歴舟(れきふね)川が南東方向へ流れて太平洋に注ぎ,中流部の主集落に国道236号線が通じる。第2次大戦前は馬産地であったが,戦後は酪農に転じ,乳業工場も立地する。海霧の影響で水田は発達せず,防霧林を設けてジャガイモ,豆類などの畑作を営む。沿岸部では定置網によるサケ漁も行われるが,漁家数は少ない。太平洋岸のホロヤカントウ沼には原生花園がみられる。
執筆者:奥平 忠志
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