大碓皇子(読み)おおうすのみこ

朝日日本歴史人物事典 「大碓皇子」の解説

大碓皇子

古事記』『日本書紀』によれば,景行天皇皇子。『古事記』では大碓命と書く。小碓尊(日本武尊)の双子の兄。天皇が,美濃(岐阜県)の国造の娘ふたりを召し上げるために大碓皇子を派遣したところ,皇子はその姉妹を自分の妻とした。のち,『古事記』では,小碓尊によって殺されたとされ,『日本書紀』では,東国平定を命じられたが草のなかに逃げ隠れたため,美濃を治めることになったという。これらの事件をきっかけとして,弟の小碓尊は熊襲,あるいは東国の平定に派遣される。兄が不正で怯懦な人格として描かれているのは,日本武尊の栄光に対する影として,人間的弱さを表しているからであろう。美濃の豪族,牟宜都君などの祖先とされる。

(寺田恵子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大碓皇子」の解説

大碓皇子 おおうすのおうじ

記・紀にみえる景行天皇の皇子。
母は播磨稲日大郎姫(はりまのいなびのおおいらつめ)。日本武尊(やまとたけるのみこと)の双生児の兄。景行天皇40年東国遠征を命じられたとき,おそれて草のなかにかくれる。美濃(みの)(岐阜県)にうつされ,身毛津(むげつ)氏,守(もり)氏の祖となったという。「古事記」には守氏,大田氏,島田氏の祖とある。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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