大蔵春実(読み)おおくらのはるざね

朝日日本歴史人物事典 「大蔵春実」の解説

大蔵春実

生年生没年不詳
平安中期の官人。父は大蔵村主。従五位下で対馬守。天慶3(940)年に藤原純友反乱を起こした際に追捕凶賊使の主典に任命され,小野好古,橘遠保,藤原正衡らと共に立ち向かった。純友が大宰府(太宰府市)に侵入したときには,海上から突入して博多津(福岡市)にあった純友軍を破り,乱鎮定のきっかけをつくった。この働きにより,のち大蔵氏は代々大宰府の官人としてこの地に勢力を扶植するにいたる。天徳4(960)年には平将門の子が入京したということで,検非違使とともに捜索に当たっている。

(朧谷寿)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大蔵春実」の解説

大蔵春実 おおくらの-はるざね

?-? 平安時代中期の武人
天慶(てんぎょう)3年(940)藤原純友(すみとも)の乱で追捕(ついぶ)凶賊使の主典(さかん)となる。4年純友軍が大宰府に侵攻すると,海上から攻めて博多津でこれをやぶり,鎮定のきっかけをつくった。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の大蔵春実の言及

【大蔵氏】より

…渡来人阿知使主(あちのおみ)の子孫という倭漢氏(やまとのあやうじ)が大和朝廷の大蔵(財政機関)を預かったことにより大蔵を称するようになる。天慶年中(938‐947),藤原純友の乱に追討使として大蔵春実が九州に下向して以来,孫種材が刀伊の入寇に活躍するなど,その子孫は大宰府の官人として九州管内の各地に勢力をのばした。平安末期,平氏政権と結びついた大蔵(原田)種直が大宰権少弐に任ぜられ一族の多くも大宰府の要職をしめて勢威をほこったが,平氏滅亡とともに没落した。…

※「大蔵春実」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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