天靖(読み)てんせい

精選版 日本国語大辞典 「天靖」の意味・読み・例文・類語

てんせい【天靖】

私年号一つ。嘉吉三年(一四四三)に当たる。この年、南朝の遺臣日野有光らが後亀山天皇皇子金蔵主を擁して宮中に乱入し、神璽宝剣を奪って延暦寺に拠ったが敗死した事件禁闕の変)があり、彼らの使用した年号

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世界大百科事典(旧版)内の天靖の言及

【異年号】より

…ついで84年(元中1∥至徳1)叡山・南都の一部僧侶の使用にかかる弘徳,88年(元中5∥嘉慶2)大和の一部に見られた永宝はいずれも,北朝において年号勘申を担当した公家たちの対立を背景として,正年号に対する不満から生まれたものと推測されている。次いで室町時代に入って,1443年(嘉吉3)天靖の年号が南朝の遺臣の間で用いられ,15世紀後半には関東公方足利成氏の治下で享正・延徳の年号が現れる。いずれも正年号を拒否することで室町幕府に反抗する政治意思がこめられている。…

【元号】より

…なお,中世の中ごろ,南北朝時代には両朝それぞれに年号を定め,それぞれの朝廷を奉ずる人びとの間で用いられるという異例の事態が60年近く続いた。さらにこの時代には北陸方面で活動した南朝系の人びとの間に白鹿という私年号が用いられたこと,また,南北朝合一後に南朝の遺臣の間に天靖という私年号が用いられたことが知られる。ちなみに公式の年号ではなく,民間において私的に用いられたいわゆる私年号は主として中世に見られるもので,とくに戦国時代に多い。…

※「天靖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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