年号(読み)ネンゴウ

デジタル大辞泉 「年号」の意味・読み・例文・類語

ねん‐ごう〔‐ガウ〕【年号】

年につける称号。中国の武帝の時の建元を初めとし、日本では645年の大化に始まる。即位・瑞祥ずいしょう災変、また、干支辛酉しんゆう甲子かっしの年に改号した。明治以後は一世一元の制となり、現在は元号法により皇位継承のあったときに限り年号を改めると規定。元号。→私年号
[類語]元号

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精選版 日本国語大辞典 「年号」の意味・読み・例文・類語

ねん‐ごう‥ガウ【年号】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 年につける称号。日本の場合、用字は中国の古典から選ばれ、年号勘文・討議を経て、改元の詔書によって定められる。正式には孝徳天皇の大化元年(六四五)を始めとし、大宝元年(七〇一)以降、連続して定められた。明治以前は一代の天皇が数度にわたって改元することが多く、即位・祥瑞・災変などのほか革命思想によって辛酉・甲子の年に改元されたが、明治以後は一世一元と定められた。また南北朝時代には、両朝が別々の年号を用いた。なお、正史に見えないが実用された私年号・偽年号などがある。元号(げんごう)
    1. [初出の実例]「凡公文応年者。皆用年号」(出典:令義解(718)儀制)
    2. 「先帝重祚之後、正慶の年号(ガウ)は廃帝の改元なればとて之を棄てられ」(出典:太平記(14C後)一二)
    3. [その他の文献]〔事物紀原‐天地生植部・年号〕
  3. 年数。年月
    1. [初出の実例]「それよりたうねんまで、ねんごう四十九年へだたり候が」(出典:浄瑠璃・宇治の姫切(1658)初)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「年号」の意味・わかりやすい解説

年号
ねんごう

元号(げんごう)ともいう。東洋における紀年法の一種で、統治者の即位、祥瑞(しょうずい)、災異などのあった年を起算年として、嘉号(かごう)を冠して用いられる。年号の起源は中国にあり、中国では統治者は土地人民のみならず時間をも支配するという思想に基づき、年号の制定は統治者の特権とされ、またその年号を使用することはその支配に従うことを意味した。この制は、中国文化の影響を受けた朝鮮や日本などの周辺の諸国に広まった。

 年号は紀年法の一種ではあるが、一代に数回も改元があり煩雑であって、たとえ一世一元であっても、その使用期間が短い例が少なくない。したがって年号を聞いただけではその時代を容易に識別することが困難な場合が多い。一方、紀元年数による紀年法では歴史的事件の前後関係の判断は簡単明瞭(めいりょう)であり、歴史学・年代学にとっては、年号よりも紀元年数で表すほうが便利である。

[渡辺敏夫]

中国の年号

中国では、初めは帝王の即位の翌年を元年とし、帝王の何年として年数を数えた。年号を正式に定めた最初は前漢の武帝とされ、即位の翌年(前140)を建元元年とし、以降、武帝一世だけで6年ごとに元光・元朔(げんさく)・元狩(げんしゅ)・元鼎(げんてい)・元封(げんぽう)、ついで4年ごとに太初・天漢・太始・征和と改めた。なお、武帝の建元の制定についてはその年時を含めて諸説があり、問題が残っている。

 唐の高宗は治世34年間に14回の改元を行った。清(しん)朝の太宗を除くと、明(みん)・清両朝時代になって一世一元の制が確立された。中国での改元は史上600回余にも及び、重複した年号も少なくない。称号は瑞祥を表すものやある理想を表すものが多い。文字数は普通2字であるが、3字、4字のものもある。

[渡辺敏夫]

日本の年号

日本では孝徳(こうとく)天皇の大化(たいか)(645~650)が最初とされるが、次の白雉(はくち)(650~654)や、天武(てんむ)天皇の朱鳥(しゅちょう)(686)とともに実施について疑問視する学説がある。確実かつ継続的に用いられるようになったのは文武(もんむ)天皇の大宝(たいほう)(701~704)からである。これより前、推古(すいこ)天皇の時代に法興(ほうこう)という年号が法隆寺金堂の釈迦(しゃか)三尊像光背銘などにみえるが、これは聖徳太子の周辺で使用された私年号とする学説が有力である。

 年号は、学者の提出した年号案(勘文(かんもん))に基づき、公卿(くぎょう)の討議(改元定)を経て勅裁したものが詔書をもって公布され、改元の時期にかかわらず、その年初にさかのぼって用いられた。年号は通常2文字であるが、奈良時代には天平感宝(てんぴょうかんぽう)、天平勝宝(しょうほう)、天平宝字(ほうじ)、天平神護(じんご)、神護景雲(けいうん)という4文字の例がある。これは当時の中国での流行の影響を受けたものである。年号の文字は中国の古典を出典として選ばれるが、奈良時代の前後には慶雲(けいうん)、和銅(わどう)、神亀(じんき)など出現した瑞祥を具体的に表現したものが多いのに対し、平安時代以降には大同(だいどう)、弘仁(こうにん)、天長(てんちょう)など吉祥句や儒教的政治理念を表したものが多くなる。日本の年号数は大化から令和(れいわ)まで、南北両朝のものを含め248に達するが、使用された文字数は73にすぎず、そのうち1回だけのものが31であるので、実際には約40文字が繰り返し使用された。また中国と同一の年号は貞観(じょうがん)・建武(けんむ)・元和(げんな)など約30あるが、日本の年号を重複して使用した例はない。

 年号は皇権の象徴でもあったため、源平の争乱や南北朝時代に朝廷が分裂した際には双方のたてた年号がそれぞれの勢力下で使用された。また室町・戦国時代には弥勒(みろく)・福徳(ふくとく)などの私年号が地域的に用いられたことがある。

 1868年(明治1)に年号は一世一元と定められ、その後旧皇室典範の規定により践祚(せんそ)の日に改元が行われ、大正・昭和の両年号はこれによった。第二次世界大戦後の皇室典範には年号に関する規定がないが、1979年(昭和54)に元号法が成立し、年号は皇位の継承のあったときに限り政令で定めることになった。

[岡田芳朗]

 2017年(平成29)、天皇の退位等に関する皇室典範特例法が成立し、2019年に今上天皇から皇太子への譲位が行われた。

[編集部 2019年9月17日]

『所功著『日本の年号』(1977・雄山閣出版)』

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「年号」の解説

年号(ねんごう)

東アジア諸国で行われた独特の紀年法。正しくは元号(げんごう)という。元とは「はじめ」の意で,暦(れき)を改めた第1年を元といい,その元の号を年につけて数えていたので,年号ともいわれるようになった。前漢の武帝が即位の翌年(前140)を建元元年としたのが,始まりであるといわれている。中国文化の伝播とともに朝鮮,満洲,日本,ベトナムなどの諸国でも年号が立てられた。年号を定めることは主権者の特権であり,独立国であることを示すものであった。したがって,中国の王朝に臣属すれば独自の年号を捨てて中国の年号を用いた。年号は政治の理想を表すものであり,瑞祥,災難が起こると改めた。中国では明以後,日本では明治以後一世一元の制となった。東アジアの諸王朝が滅びるとともに年号の使用もすたれ,現在は日本のみが用いている。

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年号 (ねんごう)

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百科事典マイペディア 「年号」の意味・わかりやすい解説

年号【ねんごう】

元号

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普及版 字通 「年号」の読み・字形・画数・意味

【年号】ねんごう

元号。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「年号」の解説

年号
ねんごう

元号(げんごう)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「年号」の意味・わかりやすい解説

年号
ねんごう

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世界大百科事典(旧版)内の年号の言及

【異年号】より

…天皇の制定施行によらずに国内の一部で作成使用された年号。私年号ともいう。…

【改元】より

…年号(元号)を改定する国家行事。日本における年号の使用は645年の大化に始まるが,その後断続があり,継続的に使用されるのは8世紀初頭の大宝,慶雲以降であって,改元行事もこのころから制度化したと考えられる。…

【元号】より

…一般には年号と呼ばれる。中国を中心とする東洋の漢字文化圏に広まった紀年法で,前漢の武帝のときに始まる。…

※「年号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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