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私年号 しねんごう

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

私年号
しねんごう

朝廷が公に定めた年号以外に私的に用いた年号。日本で用いた最初の公年号は大化 (645) であるが,道後温泉碑には「法興」という年号がみえ,これは推古4 (596) 年にあたる。この類の古代の年号はほかにも白鳳,朱鳥 (朱雀) などがあるが,これらは私年号というよりも逸年号とみなされ,私年号とは中世以降民間で公年号と併用されたものとする狭義の見解もある。

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デジタル大辞泉の解説

し‐ねんごう〔‐ネンガウ〕【私年号】

朝廷が正式に定めた年号に対し、民間で私的に用いた年号。主に中世後期の社寺・地方豪族などが用いた。異年号。偽年号。

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大辞林 第三版の解説

しねんごう【私年号】

朝廷が定めた公の年号に対し、民間で私に用いた年号。狭義には、中世以降、寺社が縁起・碑文に用いた福徳・命禄などの語をいうが、広義には、公年号制定以前の逸年号を含める。異年号。偽年号。 → 逸年号

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

私年号
しねんごう

朝廷の定めたものでない年号。偽年号、異年号などともいう。古代にも公式の元号でない年号は存在するが、それらの多くは、後世につくられた架空の年号である。これに対して、中世には戦乱・飢饉(ききん)などが原因となって、改元=代替わりの期待から、人々の間に改元待望が高まることがあった。こうした背景のもとで、現在知られているだけで30以上の私年号が用いられたが、その多くは、つくった人間かそのごく近い範囲で短期間使用されたにすぎない。しかし、15世紀後半以降、関東公方(くぼう)と室町幕府の間に激しい対立が生じ、京都から東国への改元伝達ルートが混乱すると、しばしば広範囲に使用される私年号が出現する。福徳(ふくとく)(1491ころ)、弥勒(みろく)(1507ころ)、命禄(めいろく)(1542ころ)などがそれで、いずれも富貴の代、弥勒の世を待望する気持ちが年号の名前に込められており、残存史料が過去帳、経典、板碑(いたび)などの宗教史料のなかに多いことから、私年号をつくった人間はおそらく多くは僧侶(そうりょ)であろうと想像される。しかし、私年号を使用した人々は、これを元号そのものと考えて使っていたのであって、私年号を使っているからといって、ただちに京都に対する自立の意志の表現だとするわけにはいかないだろう。[千々和到]
『久保常晴著『日本私年号の研究』(1967・吉川弘文館)』

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世界大百科事典内の私年号の言及

【異年号】より

…天皇の制定施行によらずに国内の一部で作成使用された年号。私年号ともいう。日本最古の異年号は621年(推古29)に当たる法興であって,かつてこれを国家制定の正年号と見る説もあったが,今日では聖徳太子を賛仰する法隆寺僧が太子の経歴を記すために私用したものと考えられている。…

【元号】より


[元号使用の始まり]
 日本では645年(皇極4)蘇我氏の討滅を機に孝徳天皇が即位してまもなく,この年を大化元年と定めたのが最初である。大化以前において法隆寺金堂の釈迦三尊像の光背の銘や《伊予国風土記》逸文の道後温泉の碑文などによって法興という年号のあったことが知られるが,これは公式に定められたという徴証がなく,逸年号もしくは広い意味で私年号というべきであろう。650年(大化6)白雉と改元されたが,654年(白雉5)孝徳天皇の没後年号はとだえ,天武天皇の末年に朱鳥の年号が定められたが,これもあとが続かず,701年(文武5)に至り,対馬から金が貢上されたのを機に大宝の年号が建てられた。…

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