朝日日本歴史人物事典 「安倍真直」の解説
安倍真直
平安前期の官僚,学者。左京(京都市)の人。大同1(806)年安倍朝臣の姓を賜り,平城天皇の勅命により出雲広貞らと共に医方書『大同類聚方』100巻の著述に当たり,大同3年5月3日に奏進した。ときに衛門佐従五位下兼左大舎人助相模介。同年9月に少納言,翌年6月には従五位上に累進。弘仁2(811)年10月,主殿頭兼豊後守,同6年3月には左少弁となる。『大同類聚方』は日本古来の医方を集成したわが国最初の医書とされるが真本は伝わらない(現伝本は後世の偽選)。またその著述により真直は医学史上では医家として扱われるが,医を業としたことを裏付ける史料はない。
(小曾戸洋)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報