安部熊之助（読み）アベ クマノスケ

20世紀日本人名事典

安部 熊之助
アベ クマノスケ

明治・大正期の園芸家,農村指導者,政治家 衆院議員。

生年

文久1年12月19日(1862年)

没年

大正14(1925)年8月24日

出生地

豊前国企救郡長浜浦(福岡県北九州市小倉北区)

旧姓(旧名)

岩松

別名

別名=熊之輔

経歴

明治10年に上京し、製缶所に勤務しながら独学で農業書を学ぶ。14年から中部地方各地を巡り、山梨県の広大な葡萄畑に影響されて果樹園芸を志した。18年に帰郷、県農会や帝国農会の会員として農村の指導に当たり、38年には私財を投じて足立山麓に園芸模範場を開き、果樹栽培の試験を行うなど農民福祉の向上と農業技術の改良に大きく貢献。また31年に福岡県議となるなど政界でも活動し、大正4年には衆院議員に当選して立憲政友会に所属、1期2年を務めた。著書に「日本の蜜柑」がある。

出典　日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」（2004年刊）

朝日日本歴史人物事典

安部熊之助

没年：大正14.8.24(1925)
生年：文久1.12.19(1862.1.18)
明治大正期の園芸家,農村指導者。小倉藩領豊前国企救郡長浜浦(北九州市小倉北区)の庄屋で白洲灯台建設に尽力した岩松助左衛門の孫。のち同郡の安部(阿部)家の養子。明治10(1877)年上京して製缶所職工となり,かたわら独学で農書を学ぶ。14年から信州,甲州を遊歴,甲州の広大な葡萄畑を見て果樹園芸を志したという。18年帰郷ののちは県農会や帝国農会に籍をおいて県農業界の指導に当たり,『日本の蜜柑』(1904)を著す。31年以降県会議員,大正4(1915)年には立憲政友会から衆議院議員に当選し,1期2年間務めた。常に農事改良と農民福祉の向上を志した人で,明治38年,私財を投じて足立山麓に開いた園芸試験場は,現在,安部山公園(小倉南区)となっており,農政家横井時敬による頌徳碑がある。<参考文献>『企救郡誌』

(井奥成彦)

出典　朝日日本歴史人物事典：（株）朝日新聞出版