蜜柑(読み)ミカン

デジタル大辞泉 「蜜柑」の意味・読み・例文・類語

み‐かん【×柑】

ミカン科ミカン属の常緑小高木。また、その実。暖地に産し、葉は長楕円形。初夏白色の小さな5弁花をつけ、黄橙色の実を結ぶ。果樹として広く栽培され、ウンシュウミカンキシュウミカンなど多くの品種がある。たちばな。こみかん 冬 花=夏》「―の香染みたる指を洗はずに/誓子
ミカン科の双子葉植物総称。約2000種が温帯から亜熱帯に分布し、主に木本で、樹皮や葉に油腺をもつ。ミカン・キンカンカラタチなどの属が含まれる。
[補説]書名別項。→蜜柑
[類語]柑橘類オレンジだいだい金柑枳殻からたち

みかん【蜜柑】[書名]

芥川竜之介短編小説。横須賀発の上り列車の二等客車の中の出来事を描く。大正8年(1919)5月、雑誌新潮」に発表当初は「私の出遇った事」の総題で発表された2編の小説うちの1作で、のちに独立した作品として単行本に収録された。もう1作は「沼地」。

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精選版 日本国語大辞典 「蜜柑」の意味・読み・例文・類語

み‐かん【蜜柑】

  1. 〘 名詞 〙 ミカン科の常緑小高木。高さ約三メートル。茎にはとげがない。葉は長卵形または披針形で翼をもつ柄がある。初夏、白い五弁花が咲く。果実は扁球形で黄色に熟し、芳香を放ち甘酸っぱい味がして生食される。古くから栽培されウンシュウミカン・キシュウミカンなど種類が多い。みっかん。《 季語・冬 》

▼みかんの花《 季語・夏 》 〔撮壌集(1454)〕

蜜柑の語誌

この類では、古く「柑子」が伝来し、「かうじ」という字音語で呼ばれ、中古・中世、「今昔物語」や「徒然草」に見られるように、おいしい果物として大切にされた。後に「蜜」のように甘い果汁の新品種が伝えられ「蜜柑」と呼ばれた。当時はミッカンと音読することが多かったが、次第にミカンの形の方が一般化する。近世にはその種類も多くなり、広く栽培もされて、ミカン類の総称となった。


みっ‐かん【蜜柑】

  1. 〘 名詞 〙みかん(蜜柑)
    1. [初出の実例]「当年蜜柑難得也」(出典:看聞御記‐応永二七年(1420)一一月九日)
    2. 「密柑(ミッカン)ひとつ、我口添し跡ながら手から手に渡して」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)六)

蜜柑の語誌

→「みかん(蜜柑)」の語誌

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蜜柑」の解説

蜜柑 (ミカン・ミツカン)

植物。ミカン科の常緑有刺低木またはその果実の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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