帰郷(読み)キキョウ

デジタル大辞泉 「帰郷」の意味・読み・例文・類語

ききょう【帰郷】[書名]

《原題Homecoming》米国の小説家デルの自伝。1933年刊。
大仏次郎の小説。昭和23年(1948)発表。国外に亡命、戦後帰国した元海軍軍人の目を通して、故国日本の荒廃を批判したもの。
海老沢泰久短編小説自動車レース最高峰、F1のスタッフに選ばれた男の栄光と帰郷後の脱力感を描く。平成6年(1994)刊。同年、第111回直木賞受賞。

き‐きょう〔‐キヤウ〕【帰郷】

[名](スル)故郷に帰ること。帰省きせい。「お盆には帰郷したい」
[補説]書名別項。→帰郷
[類語]帰省里帰り帰国帰還帰京帰参

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精選版 日本国語大辞典 「帰郷」の意味・読み・例文・類語

き‐きょう‥キャウ【帰郷】

  1. [ 1 ] ふるさとや祖国へ帰ること。帰省。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「浦島が帰郷の其れにも はて似付かふもあらず」(出典:楚囚之詩(1889)〈北村透谷〉二)
    2. [その他の文献]〔袁凱‐京師得家書詩〕
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 小説。大仏次郎作。昭和二三年(一九四八)発表。第二次世界大戦前海軍籍を離れ国外に亡命した故郷喪失者守屋恭吾が、敗戦後の日本に帰国し、故国の荒廃に直面する。現代日本への文明批評をこめた作品。
    2. [ 二 ] ( 原題The Return of the Native ) 長編小説。ハーディ作。一八七八年発表。エグドンヒースと呼ばれる原野を背景に、都会へ抜け出ようとする妻ユーステーシアと荒野に身をうずめようとする夫クリムの心情の対立を描く。

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改訂新版 世界大百科事典 「帰郷」の意味・わかりやすい解説

帰郷 (ききょう)

大仏(おさらぎ)次郎の長編小説。1948年(昭和23),《毎日新聞》に連載。49年,苦楽社刊。不本意な事情から公金横領の罪に問われて海軍を辞職した守屋恭吾は,10年余も海外を流浪していたが,シンガポールで太平洋戦争開戦に逢着してからはマラッカの華僑の家に潜伏する。彼は,シンガポールで料亭を営む美貌の女将に密告され,憲兵の拷問を受けたすえにマラッカ刑務所に入れられる。敗戦後,久しぶりに帰国した恭吾は,人心まで荒廃した東京の様相を悲しむが,京都,奈良で昔ながらの美しい祖国を発見し,豪華な金閣寺では娘の伴子と再会する。作者は異邦人と化した恭吾を介して,虚脱した同胞を批判し,同時に同胞に自信と希望とを持たせようとしたのである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「帰郷」の意味・わかりやすい解説

帰郷
ききょう
The Homecoming

イギリス戯曲。2幕。 H.ピンター作。 1965年6月3日,オールドウィッチ劇場ロイヤル・シェークスピア劇団初演アメリカ哲学教授として成功した長男が一時帰国したあと,父と弟2人のために自分の妻を娼婦として残していくという物語。現実的な設定のうちに寓話的,神秘的な展開をもち,知性本能思想と行動の相克が描かれている。

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デジタル大辞泉プラス 「帰郷」の解説

帰郷〔アメリカ映画〕

1978年製作のアメリカ映画。原題《Coming Home》。ベトナム戦争後遺症を告発する反戦映画代表作。監督:ハル・アシュビー、出演:ジェーン・フォンダ、ジョン・ボイト、ブルース・ダーン、ロバート・キャラダインほか。第51回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同主演男優賞(ジョン・ボイト)、主演女優賞(ジェーン・フォンダ)、脚本賞受賞。

帰郷〔日本映画〕

1950年公開の日本映画。監督:大庭秀雄、原作:大仏次郎、脚本:池田忠雄、音楽:吉澤博、黛敏郎。出演:佐分利信、津島恵子、木暮実千代、徳大寺伸、坪内美子、柳永二郎、山村聰ほか。第5回毎日映画コンクール音楽賞、男優演技賞(佐分利信)、助演賞(山村聰)受賞。

帰郷〔戯曲〕

1965年初演のハロルド・ピンターによる戯曲。原題《The Homecoming》。アメリカからイギリスに妻を連れて里帰りした大学教授とその家族をめぐる不条理劇。1967年に第21回トニー賞(演劇作品賞)を受賞。

帰郷〔小説〕

浅田次郎による反戦小説集。表題作のほか「鉄の沈黙」「夜の遊園地」など全6編を収める。2016年刊行。同年、第43回大仏次郎賞受賞。

帰郷〔曲名〕

日本のポピュラー音楽。歌は男性歌手、郷ひろみ。1977年発売。作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童。

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普及版 字通 「帰郷」の読み・字形・画数・意味

【帰郷】ききよう

故郷へ帰る。

字通「帰」の項目を見る

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