日本大百科全書(ニッポニカ) 「実在溶液」の意味・わかりやすい解説
実在溶液
じつざいようえき
real solution
理想溶液に対比して、現実に存在する溶液(非理想溶液)をいう。理想溶液とは、たとえば蒸気圧については、二つの液体の成分A、Bをいろいろなモル比で加え合わせて溶液をつくったとき、その溶液から生ずるそれぞれの成分の蒸気圧が、そのモル比に対して直線的に変化する(すなわちラウールの法則が成立する)ような溶液をいう。この法則が成立するのはごく限られた成分の組合せの場合で、多くの溶液は、この法則から外れる。これが実在溶液である。一般的にいえば、溶液中の各成分の化学ポテンシャルが各成分のモル分率に対して、
μi=μi゜+RTlnxi
という関係がある溶液を理想溶液、これから外れる溶液を実在溶液という(μi゜は温度と圧力が決まればiに固有な定数。Rは気体定数。Tは絶対温度。xiは成分iのモル分率)。
[戸田源治郎]