日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラウールの法則」の意味・わかりやすい解説
ラウールの法則
らうーるのほうそく
Raoult's law
フランスのラウールが19世紀の終わりごろ実験的にみいだした法則。これは、のちにスウェーデンのアレニウス、オランダのファント・ホッフにより理論的にも理想溶液について証明された。希薄溶液では、溶媒n1モルに溶質n2モルを溶解したとき、その溶媒の蒸気圧p1と溶液の蒸気圧p2との間には、
の関係がある、すなわち溶液の蒸気圧降下は溶液の溶質の濃度に比例するという法則。溶媒あるいは溶質のモル数nは、それぞれの質量wを分子量Mで割ったもの(n=w/M)であることから、蒸気圧降下を測定することによって溶質の分子量を決定することができる。蒸気圧降下は、浸透圧、凝固点降下、沸点上昇とも関係があり、いずれにしても、これらの測定により、この法則を用いて溶質の分子量が決定されている。
[中原勝儼]