宿野辺村(読み)しゆくのべむら

日本歴史地名大系 「宿野辺村」の解説

宿野辺村
しゆくのべむら

[現在地名]茅部かやべ郡森町字赤井川あかいかわ・字駒ヶ岳こまがたけ・字白川しらかわ

近世から明治三五年(一九〇二)までの村。成立時は北は尾白内おしろない村、南は峠下とうげした(現七飯町)、村内を精進しようじん川と赤井川が流れ、南境で宿野辺川に合流する。近世は「スクノベ」(えぞのてぶり続)、「スクノツヘ」(木村「蝦夷日記」)、「宿の辺」(蝦夷紀行)などと記した。

「板橋かけたるあら河の涼しく流るを、スクノベといふ」(えぞのてぶり続)、「宿のへの橋を渡る。宿のべ川ハ小沼の落水なり。川巾五間斗り。山道上り下りして赤イ川の橋を渡る。川巾三間斗、此より段々下りの道なり。樺木の原を過き左ニ沼あり。林を隔て見へる湯の台の坂を下り左ニ湯の沼あり。湯の水温泉に而ハなし。其旁ニ温泉あるニより名くるなり」(「東遊奇勝」寛政一一年五月五日条)などの記録がある。寛政一一年(一七九九)東蝦夷地が幕府直轄地となった頃から幕命によって休み所が設置されたらしく、「御昼休ハスクノト云所、山中也。四五日以前ヨリ大野ヨリ出ル二間三間小屋ヲ立、茶魚類等有。是ヨリ西ニ小沼アリ」(「東蝦夷地日記」同一二年閏四月三日条)とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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