国指定史跡ガイド 「寒風古窯跡群」の解説
さぶかぜこようせきぐん【寒風古窯跡群】
岡山県瀬戸内市牛窓町にある窯跡。旧邑久(おく)郡一帯に広く分布する邑久古窯跡群を代表する窯跡である。薪の灰とともに焼成に失敗した陶器などが出土しており、長年にわたる調査の結果、低丘陵斜面の4ヵ所につくられた5基の窯跡と、南斜面にある1基の古墳、寒風池南東の丘陵上の工房跡と考えられる建物跡からなることが明らかになった。7世紀初頭から8世紀初頭の約100年間にわたって須恵器(すえき)などが焼かれていたことも判明した。窯は山の斜面にトンネルを掘ってつくられ、長さ10mを超える登り窯である。出土品は、高杯(たかつき)・提瓶(さげべ)・長頸壺(ちょうけいこ)・甕(かめ)など膨大な数になり、陶棺、鴟尾(しび)、硯(すずり)などもある。ここで焼かれた須恵器が奈良の都からも出土し、単なる地方窯ではなく、半官窯的な性格をもった窯であることがうかがえる。飛鳥時代~白鳳(はくほう)時代を中心に、西日本有数の須恵器生産地として、1986年(昭和61)に国の史跡に指定された。出土した須恵器類は、吉備考古館、寒風陶芸会館に保管・展示されている。JR赤穂線邑久駅から東備バス「小津」下車、徒歩約20分。