日本大百科全書(ニッポニカ) 「対置海岸」の意味・わかりやすい解説
対置海岸
たいちかいがん
古期の硬い岩石を、新期の軟らかい岩石が薄く被覆している地域では、海岸線の侵食が進むと、埋積されていた地形が洗い出されて、以前より凹凸のある海岸線が出現する。このような海岸を対置海岸という。海岸線のこのような地形変化は、河川における積載河流の地形変化と対応する。
日本では千葉県の犬吠埼(いぬぼうさき)や愛知県の伊良湖岬(いらごみさき)にこの型の地形がみられる。アメリカのニュー・イングランドのメーン州、カナダのブリティッシュ・コロンビア州のビクトリアなどの海岸のように、氷河堆積(たいせき)物が結晶質岩石からなる氷食前の地形を覆っている場合、波食の状況の進み方によって、さまざまな段階の対置海岸がみられるという。
[豊島吉則]