小間使(読み)こまづかい

精選版 日本国語大辞典 「小間使」の意味・読み・例文・類語

こま‐づかい ‥づかひ【小間使】

〘名〙
① 禁中に仕える下級武士。五石二人扶持。使番に文箱を渡したり、医師の薬籠女嬬に渡したり、命婦らの外出輿脇の供をしたりする。
※光台一覧(1775か)二「御勘使買物使小間使皆各平士なり」
江戸幕府雑用にたずさわる下級の職。一五俵一人半扶持、一三五人。膳所小間使、風呂屋小間使、広敷小間使、表小間使などがある。
仮名草子・武蔵あふみ(写本)(1661)上「御小姓組二百人、御こまつかひ百六人」
主人身の回りの雑用に使われる女中。召使い
※雑俳・柳多留‐二四(1791)「小間遣ひ二人そろへて三分なり」
※うたかたの記(1890)〈森鴎外〉中「富める英吉利人の住めるに雇はれて、小間使になりぬ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小間使」の意味・わかりやすい解説

小間使
こまづかい

(1)江戸時代、朝廷において使番(つかいばん)の下になる末席の下級の武士。奥向きの女官である局(つぼね)、女嬬(にょじゅ)などの出す手紙入りの文筥(ふばこ)を使番に渡したり、天皇の服用する薬の入った薬籠(やくろう)を下僕から受け取って御錠口(ごじょうぐち)で女嬬ないしは表使に渡したりする。また非蔵人(ひくろうど)の配膳(はいぜん)を行う。ときには、宮家、摂家、大名などの献上物を奥の女嬬に取り次いだり、命婦(みょうぶ)、女蔵人(にょくろうど)の社寺参詣(さんけい)および私宅へ行く際に供をする。

(2)江戸時代、幕府の雑用にあずかる下級の者。表小間使、広敷(ひろしき)小間使、風呂屋(ふろや)小間使などがある。

(3)明治時代以降、大家、大店(おおだな)などのおもに女子の奉公人のことをいう。ただし、主人家族の身の回りの世話をするが、勝手向きなどの家事には携わらない。

[芳井敬郎]

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