帝王図(読み)ていおうず(その他表記)dì wáng tú

改訂新版 世界大百科事典 「帝王図」の意味・わかりやすい解説

帝王図 (ていおうず)
dì wáng tú

中国絵画の勧戒画の中心となる主題。歴代の帝王を選択的にかくもの,ある王朝皇帝すべてを包含するもの,さらには各朝各代の皇帝の独立した肖像画など,種々の作例がある。前漢昭帝から隋煬帝(ようだい)まで13人の帝王をかいた伝閻立本《帝王図巻》(ボストン美術館)は第1の,清朝内府に収蔵されていた《南薫殿図像》(台北故宮博物院)のうち《宋代帝半身像冊》は第2の,都合11幅を数える《明太祖像》は第3のものの例である。それらは勧戒の意はもちろん,各朝においては尊崇の意をこめたものでもあり,軸物は寺観などに別に場所を設けて掲げ礼拝の対象とされた。ただ,聖賢図・名臣図などをも含めた勧戒画が中国人物画の主題として重要であったのは,《晋帝相列像》をかいた顧愷之(こがいし),《梁武帝像》をかいた張僧繇(ちようそうよう),あるいは《秦府十八学士図》の制作に当たった閻立本らに代表される漢から六朝・隋・唐時代までであり,宋代以後は人物画に取ってかわる山水画の隆盛とともに勧戒画はしだいに振るわなくなっていった。現存する〈帝王図〉の多くも無名画家の制作になるものである。
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