日本大百科全書(ニッポニカ) 「幌筵島」の意味・わかりやすい解説
幌筵島
ほろもしりとう
千島列島北部の島。ぽろむしる、ほろむしろ、ともいい、ロシア名はパラムシルПарамуширで、いずれも「大きい(または広い)島」の意のアイヌ語が語源。北は幅約20キロメートルの幌筵海峡(第二クリル海峡)を隔てて占守(しむしゅ)(シュムシュ)島を、南は温禰古丹(オネコタン)海峡(第四クリル海峡)を挟んで温禰古丹島を望む。北東―南西方向に長く、長さ105キロメートル、幅20~25キロメートル、面積約2040平方キロメートル。北部に活火山硫黄(いおう)山(エベコ火山、1136メートル)、南部に千倉岳(チクラチキ火山、1815メートル)、白煙山(カルピンスキー火山、1345メートル)などの火山が並び、島の南端近くに別飛(べっとぶ)湿原、別飛沼の低地がある。海岸は火山の裾野(すその)が急崖(きゅうがい)をつくり、錨地(びょうち)に乏しく、幌筵海峡に臨む中心地柏原(かしわばら)(セベロ・クリリスクСеверо‐Курыльск/Severo‐Kurïl'sk)が唯一の港。1945年(昭和20)までは根室(ねむろ)支庁(現根室振興局)管内の幌筵郡を構成し、夏に北海道庁の命令航路が柏原―根室間を結び、数千名の漁業労働者が繰り込んだ。第二次世界大戦後はソ連、ソ連解体後はロシア連邦が支配し、サハリン州に所属せしめている。
[渡辺一夫]