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湿原 しつげんmoor; bog

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

湿原
しつげん
moor; bog

過湿を好む特殊な植物群におおわれた土地。通常,寒冷湿潤な気候条件のところに生じやすく,植物の遺体は分解が不完全のため埋没,堆積して泥炭地をつくる。湿原には,ヨシ,マコモなどを特徴とする低層湿原泥炭が集積して比較的乾燥に耐える植物群と湿性樹木のみられる中間湿原,泥炭が厚くなりさらに乾燥に耐えるミズゴケ類を特徴とする高層湿原などがある。尾瀬ヶ原では低層湿原から高層湿原までの変化過程がみられる。北海道の低地にも各種の湿原が発達している。

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デジタル大辞泉の解説

しつ‐げん【湿原】

低温で多湿な所に発達した草原。枯死した植物の分解が進まず泥炭となって堆積(たいせき)し、その上に水性植物におおわれた草原が生育していく。低層中間高層湿原などに分けられる。
[補説]書名別項。→湿原

しつげん【湿原】[書名]

加賀乙彦長編小説。昭和60年(1985)刊。大学紛争の激化した1960年代末を時代背景に、冤罪(えんざい)事件との戦いと魂の救済を描く。第13回大仏次郎賞受賞。

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百科事典マイペディアの解説

湿原【しつげん】

低温や過湿などのため枯死体の分解が進まず泥炭の堆積した上に発達する草原。湖沼や川の水辺にできる平たんな低層湿原はヨシ,スゲの類が優占し,中性で富栄養的な水に養われる。日本では,関東以西の平地に小規模のものが散在する。一方,温帯以北の湿潤地にできる高層湿原はミズゴケを主とし,モウセンゴケ,ツルコケモモなどがはえ,酸性で貧栄養的な水で養われる。霧ヶ峰尾瀬ヶ原戦場ヶ原などがこの例。
→関連項目世界自然保護基金

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世界大百科事典 第2版の解説

しつげん【湿原】

湿地に成立した草原のこと。欧米では湿原に対して細分された語が発達しており,日本の湿原という総称に対応する語はない。湿原は泥炭(ピートpeat)ができているかどうかで,沼沢湿原marsh,swampと泥炭湿原mireに大別される。 沼沢湿原は,湖沼の岸や河川の排水の悪い氾濫(はんらん)原などにみられ,栄養物質に富んだ水に涵養(かんよう)され,泥炭は集積しない。ヨシ原に代表されるが,オギはヨシよりも浅いところに,マコモ,ヒメガマは深いところに出現する傾向がみられ,沼沢植物の分布は水深と関係する。

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大辞林 第三版の解説

しつげん【湿原】

草原の一。土壌の低温・過湿のために植物遺体の分解が阻害され、泥炭となって堆積した上に発達する。環境条件によって高層湿原・低層湿原などになる。 → 泥炭地

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

湿原
しつげん
moor

過湿な条件を好む草本や蘚苔(せんたい)類あるいは低木に覆われ湿った土地。通常、潟や湖沼などが土砂で埋まって浅くなり、そこにミズゴケやアシなどが生育、繁茂することによって湿原ができるが、そうした地下水位の高い場所では年々枯死する植物の遺体が完全に分解せず、泥炭となって堆積(たいせき)していくため、湿原には泥炭を伴うものが多い。湿原は地下水位の高低により3種類に分けられる。地下水位が高く、水分過飽和な湿原を低層湿原といい、河川の氾濫(はんらん)原や沼沢地にできやすい。ここにはおもにアシやスゲ類が生育する。泥炭が集積して地下水位よりも高くなると、雨水のみで生活できるミズゴケやモウセンゴケ、ツルコケモモなどを主体とする湿原ができる。これを高層湿原といい、尾瀬ヶ原(群馬県)や釧路(くしろ)湿原(北海道)はその代表的なものである。両者の中間のヌマガヤやワタスゲの生育する湿原を中間湿原という。湿原は寒冷多雨の気候下でできやすく、北欧やシベリア、アラスカ、カナダなどに広く分布している。日本では北海道の海岸部や山岳地方に大規模なものがあるほか、東北日本の多雪山地にも広くみられ、谷地(やち)、田代(たしろ)などとよばれている。1980年代以降、多雪山地の湿原には、後氷期の積雪量の増加によって形成されたものが多数知られるようになった。[小泉武栄]

植生

生態学では、沼沢地などといった多湿な環境のため木本植物が生育できず、草本植物が優占する群系をいい、湿生草原ともよぶ。湿地では低温や過湿のため植物の枯死体の分解が阻害されて泥炭が形成され、その上に湿原が発達する。泥炭の生態的条件によって低層湿原、中間湿原、高層湿原の別がある。また栄養塩類含有量から富栄養湿原、中栄養湿原、貧栄養湿原に分けられる。低層湿原は富栄養湿原である場合が多く、アシ、カサスゲなどが生育し、高層湿原は貧栄養湿原で、おもにミズゴケ類で特徴づけられる。[奥田重俊]
『阪口豊著『泥炭地の地学――環境の変化を探る』(1974・東京大学出版会) ▽鈴木良策著『湿原尾瀬――鈴木良策写真集』(1987・六興出版) ▽『自然歳時記 新日本百景3 湖沼と湿原』(1987・集英社) ▽本多勝一編『釧路湿原――日本環境の現在』(1993・朝日新聞社) ▽森田敏隆写真『日本の大自然9 釧路湿原国立公園』(1993・毎日新聞社) ▽鈴木静夫著『水辺の科学――湖・川・湿原から環境を考える』(1994・内田老鶴圃) ▽阪口豊著『尾瀬ヶ原の自然史――景観の秘密をさぐる』(中公新書)』

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