改訂新版 世界大百科事典 「平和擁護法」の意味・わかりやすい解説
平和擁護法 (へいわようごほう)
第2次世界大戦後の〈冷たい戦争〉状態が,1950年に朝鮮戦争をよびおこしたとき,第2回世界平和擁護大会は,戦争宣伝の処罰を内容とする平和擁護法の制定を各国によびかけた。これにこたえて,社会主義諸国は1950年から51年にかけて,相次いで平和擁護法を制定した。ソ連邦では,1951年3月12日に〈平和擁護に関する法律〉が制定されたが,そこでは,いかなる形式であれ,戦争の宣伝は,平和事業を破壊し,新しい戦争の脅威を生み出し,それゆえに,人類に対する重大な犯罪であるとしたうえで,戦争宣伝について責任のある者は,裁判所に送致され,最も重い刑事犯罪人として裁かれなければならないと規定された。58年の〈国家犯罪の刑事責任に関する法律〉は,平和擁護法を踏襲し,これに3年以上8年以下の自由剝奪という重い刑罰を定め,それはまた,ロシア共和国をはじめとする各共和国刑法典にも踏襲された。
執筆者:中山 研一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報