国指定史跡ガイド 「平川廃寺跡」の解説
ひらかわはいじあと【平川廃寺跡】
京都府城陽(じょうよう)市平川古宮にある寺院跡。南山城の木津川東岸、宇治丘陵縁辺の低い台地に位置し、奈良時代に創建された。大規模な塔をもち、南山城地方の奈良時代寺院を代表するものとして、1975年(昭和50)に国の史跡に指定され、2008年(平成20)に追加指定があった。塔・金堂を囲む回廊は東西約82m、南北約65m、寺域は東西約175m、南北約115mと推定され、寺域西側に塔や金堂の中心建物、東側に付属建物を配置していたとみられる。塔の基壇は1辺が17.2mの瓦積みで、金堂の基壇も塔と同じ瓦積み基壇で東西が22.5m、南北が17.2mあった。基壇の南辺は、奈良時代末から平安時代初期に南側へ2.2m拡張されている。基壇上では礎石の据え付け跡が2ヵ所所見つかり、出土瓦から、創建は奈良時代中ごろで、奈良時代末から平安時代初期に修理が行われていることが判明したが、修理後まもなく塔と金堂は火災により焼失し、その後再建されることなく姿を消してしまったと考えられている。近畿日本鉄道京都線久津川(くつかわ)駅から徒歩約15分。