日本歴史地名大系 「平野屋版切絵図」の解説
平野屋版切絵図
ひらのやばんきりえず
解説 平野屋版のうち日本橋南北浜町八丁堀辺図(題簽のみ)は四七・〇×四九・三センチ(各図同大)、木版色刷(紙地色とも七色)、平野屋平助刊行。推定を含め嘉永五年中に大名小路内桜田神田橋内京橋南北図(題簽は御江戸大名小路絵図全)・番町麹町永田町外桜田辺図(袋題のみ)とも三点のみが知られるが、四点説もある。出版許可は六点。都立中央図書館蔵。江戸全域を四〇のメッシュに区画し、地域・地名にかまわず近代図同様の方眼分割を企図したが、三枚の版行に終わった。名主役宅を入れるほか、地図専業店として歪んだ他の切絵図の改良を目指したことは明らかだが、徒歩移動の時代には測量上の正確さよりも順路の接続、地名ごとの一枚一目での範囲理解が便利とされたのであった。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報