年季奉公人(読み)ねんきほうこうにん

旺文社日本史事典 三訂版 「年季奉公人」の解説

年季奉公人
ねんきほうこうにん

一定期間,主家に住みこんでその家業に従事した奉公人
江戸時代に武家豪商豪農の家に普及幕府は初め10年期を限度としたが,1698(元禄11)年互いに納得すれば譜代も許した。しかししだいに短年期になった。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の年季奉公人の言及

【休日】より

… なお中世の農民や職人に関しても,定期的な休日の制度は知られていない。【福田 豊彦】
[近世農民の労働と休日]
 江戸時代の上層農民には譜第下人,質奉公人,年季奉公人,季節傭と,性質の異なる下男下女を使う者が少なくなかった。この種の雇人を使う心構えは農書の類の関心事でもあり,次々と休みなく使うために必要な農具類を用意し,田畑への行き来にも,必ず物を運ばせる心構えが,主人には必要とされた。…

【下人】より

…室町時代に入ると下人の独立化の傾向は強まり,従来の隷属性の強い下人のほかに,年季を決めて売買される下人が出現した。前者すなわち代々隷属する財産としての下人を譜代奉公人と呼ぶのに対し,この新しく起こった年限付きの下人を年季奉公人と呼んだ。このような年季奉公人の出現は,領主の農民への賦課の基本形態が,賦役労働から現物地代へと変化したことに対応して起こったものと考えられる。…

【百姓】より

…泉州大鳥郡踞尾(つくのお)村に残された農業経営帳簿によれば,1673‐78年(延宝1‐6)には,村落上層部に属する初期本百姓の農業経営において,田畑ともに干鰯(ほしか)が投入され,田にも販売用のが作付けられていた。この経営での農業従事者には,恒常的な労働要員として血縁家族,譜代下人,年季奉公人があり,そのほかに臨時的な労働要員として,無償の労働提供を行う借家,分家,小作人などがいる。最後の3者と譜代下人とは隷属的性格をもつ労働主体であるが,年季奉公人を雇用している点に,この経営の特徴が現れている。…

【奉公人】より

…【北原 章男】
【農村奉公人】
 近世農村の奉公人は一般に譜代,下人,下男,下女などと呼ばれていた。その雇用関係の内容は時期により,また地方により多種多様であるが,身分関係,契約形式,労働対価支払方式,雇用期間などをメルクマールにして譜代下人,質券奉公人,居消(いげし)奉公人(押切奉公人,居腐(いぐされ)奉公人),年季奉公人(年切奉公人),出替奉公人(一季奉公人),日割(ひわり)奉公人,季節雇,日雇などの諸類型に区分される。これらの諸類型は,近代的な賃労働関係の発生する以前の,雇用関係の発展過程を示すものとして重視される。…

※「年季奉公人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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