幸野溝(読み)こうのみぞ

日本歴史地名大系 「幸野溝」の解説

幸野溝
こうのみぞ

湯前ゆのまえ馬返まがえしで球磨川の水を取入れ、同町の古城ふるじよう台地の隧道を通り、あざ野中田のなかだ多良木たらぎ久米くめ奥野おくの岡原おかはる宮原みやはるを通り、うえ村で百太郎ひやくたろう溝に合流する。球磨川左岸を潤す灌漑用水。最近の改修以前には全長約一六キロ、灌漑面積一千三八五ヘクタールであった。幸野溝の開削工事は、元禄九年(一六九六)高橋政重が命を受けて着工した(同一〇年説もある)。しかし同一二年・同一四年に暴風雨と洪水で堰が破壊され、宝永二年(一七〇五)三月再び政重によって工事再開、同年一二月に完了した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の幸野溝の言及

【岡原[村]】より

…南東部は国見山地に属する山地であるが,北西部には平地が開け,人吉盆地の一角をなす。球磨川から取水する百太郎溝,幸野溝など灌漑用水に恵まれ,人吉盆地でも有数の水田地帯となっている。米を中心にタバコ,イグサの栽培,メロン,スイカなどの施設園芸,畜産なども盛んである。…

【湯前[町]】より

…東は宮崎県に接し,北西境沿いを球磨川が南西流する。西部は人吉盆地の最東端にあたる平地で,1705年(宝永2)人吉藩士高橋政重が開削した幸野溝(こうのみぞ)によって灌漑される。中心集落の湯前は谷口集落で,林産物の集散地として発達した。…

※「幸野溝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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