多良木(読み)たらぎ

改訂新版 世界大百科事典 「多良木」の意味・わかりやすい解説

多良木[町] (たらぎ)

熊本県南東端,球磨郡の町。人口1万0554(2010)。人吉盆地東部にあり,南東は宮崎県に接する。南東部と北西部には九州山地支脈をなす山々が連なり,中央部を西流する球磨川沿いに平地開け,くま川鉄道,国道219号線が走る。上球磨地方の中心地で,鎌倉初期には相良頼景が東前に館を築いたといわれ,黒肥地(くろひじ)に鎌倉期の様式を伝える青蓮寺阿弥陀堂(重要文化財)がある。江戸中期には百太郎溝,幸野溝と呼ばれる灌漑用水路が掘削され,新田開発が進んだ。農林業が主産業で,米作やタバコ,イグサの栽培,施設園芸,酪農などが盛ん。杉,ヒノキなどの良材も産出する。製材,球磨焼酎醸造の工場に加えて,繊維,弱電の工場進出もみられる。江戸末期の民家太田家住宅(重要文化財)がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報