幾何学的錯視(読み)きかがくてきさくし(その他表記)geometrical optical illusions

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「幾何学的錯視」の意味・わかりやすい解説

幾何学的錯視
きかがくてきさくし
geometrical optical illusions

視覚的な錯覚 (錯視) の一種で,平面図形の幾何学的次元や関係 (すなわち,大きさ,長さ,方向,角度など) が,実際とは異なって知覚される現象をさす。種々の錯視図形が見出されているが,多くは発見者の名をもって呼ばれている。著名なものは,ミュラー=リヤーの図形であるが,このほか,次のような各種の錯視図形があげられている。 (1) ツェルネル,ブントヘーリング,ポッゲンドルフの各図形。これらは方向の錯視を伴うものとして一括される。 (2) 分割距離錯視,すなわち,長さや広がりが数個に分割される際に,それらが過大視される図形。 (3) ある大きさの図形が,その近傍あるいは周囲におかれた別の図形の大小によって,過小視,あるいは過大視されるもの。これ以外に,垂直な線分と水平な線分との間に起る垂直線過大視現象や,ジャストロー,ザンダー,ポンゾ,デルブーフなどの各錯視図形が知られている。

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世界大百科事典(旧版)内の幾何学的錯視の言及

【錯視】より

…(3)物の運動に関する錯視としては,風が速く流れる夜空で月が雲の間を速く走って見えるように,あるものが動くと静止しているものが動いて見える〈誘導運動の錯視〉と,映画の原理のように,刺激を空間内の異なる位置に断続的に提示すると,その刺激が初めの位置から動いたように見える〈仮現運動の錯視〉がある。(4)〈幾何学的錯視〉といわれるものは,物の大きさ(長さ,広さ),方向,角度,形などの平面図形の性質が周囲の線や形などの関係のもとで実際とは違って見えるものである(図)。たとえばミューラー=リヤー図形では同じ長さの直線がつけ加えられた矢線の影響で異なった長さに見えるものであって,外向矢線のついたほうが内向矢線のついたものより長く見え,ブント=フィック図形では,同長の垂直線と水平線が違った長さに見える。…

※「幾何学的錯視」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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