引き目(読み)ひきめ

精選版 日本国語大辞典 「引き目」の意味・読み・例文・類語

ひき‐め【蟇目・引目・響目】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「響目(ひびきめ)」の略。射た時に高い音を響かせるところからいう ) 鏑(かぶら)の一種。笠懸(かさがけ)・犬追物(いぬおうもの)などに鏃(やじり)を除いて大型の鏑をつけたもの。犬射蟇目(いぬいひきめ)笠懸蟇目、産所蟇目(さんじょひきめ)などがあり、犬射蟇目は特に長大につくり、笠懸蟇目は、目の上にひしぎ目を入れて用いた。また、破邪のための産所蟇目は白木のまま用いた。ひきめかぶら。ひきべ。
    1. 蟇目<b>①</b>〈本朝軍器考集古図説〉
      蟇目〈本朝軍器考集古図説〉
    2. [初出の実例]「御弓とひきめとを給ひて、彼の辰巳の(のき)に有る狐を射よと仰せ給ければ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二五)
  3. 物を引いたような跡。ひっかいた跡。
    1. [初出の実例]「松を出て引目のつくや月の雲〈高吉〉」(出典:俳諧・北国曲(1722)二)
  4. 割れめ。裂けめ。疵(きず)。〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕

ひき‐べ【蟇目・引目】

  1. 〘 名詞 〙ひきめ(蟇目)
    1. [初出の実例]「引目して射ければ、狐の腰に射あててけり〈略〉この男、ひきべをとりて行くほどに」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android