出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
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武芸鍛練のために行われた射芸の一つで,馬上より遠距離の的を射る競技。その由来は笠を懸けて的としたことによる。的は檜を裏板に用い,表に牛革を張り,革と板の間に綿を入れ,中央に墨で適宜の大きさの丸を描いた連銭のそれが使用された。的間(まとあい)は10丈(約30m)。矢は鏃(やじり)を除いて鏑(かぶら)を大きく笠懸用に作った蟇目(ひきめ)が用いられた。的の遠近により遠笠懸,小笠懸の別があった。ほかに神社の祭祀に供される神事笠懸,鬮(くじ)によって敵手を定め勝負を決する鬮笠懸,また百番笠懸,七夕笠懸などの種類があった。笠懸はすでに平安時代から行われていたらしく,藤原明衡の《新猿楽記》などの往来物や《中右記》など日記類にも散見する。その後,鎌倉時代になると,犬追物(いぬおうもの),流鏑馬(やぶさめ)とともに武芸習練の騎射三物(きしやみつもの)の一つとして盛行し,室町期には作法も整い多くの故事書が編纂された。
執筆者:関 幸彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
馬上の射技の一つ。本来射手(いて)の笠を懸けて的としたための呼称で,馬上から遠距離の対象を射る訓練を目的とした。流鏑馬(やぶさめ)よりも略式で行われ,装束も烏帽子(えぼし)・直垂(ひたたれ)に行騰(むかばき)だけで,矢も雁股(かりまた)の鏃(やじり)を抜いた鏑矢(かぶらや)を用いた。正式の馬場は直線1町(弓杖51杖)。走路を疏(さぐり)とよび,馬場本から弓杖33杖,疏から8杖の距離に的を立てた。疏を逆行して馬手(めて)側の小的を射ることを小笠懸,通常の笠懸を遠笠懸とよぶ。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…草鹿は,草に鹿の伏した形をヒノキの板を心として白革で作り,栗色塗として斑文の星を白く出して矢あてとし,裏に乳を4ヵ所つけて鳥居形にかけた(図)。騎射の的は流鏑馬(やぶさめ)に笠懸(かさがけ)と挟物(はさみもの)がある。流鏑馬の的は径1尺8寸の方形のヒノキの板的で竹串にはさんで立て,笠懸は射手の綾藺笠(あやいがさ)をかけて的としたのを形式化し,1尺8寸円の革的を鳥居形にかけるのを例とした。…
※「笠懸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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