引放つ(読み)ヒキハナツ

デジタル大辞泉 「引放つ」の意味・読み・例文・類語

ひき‐はな・つ【引(き)放つ】

[動タ五(四)]
矢などを引いて手もとから飛ばす。「矢を―・つ」
無理に遠ざける。引き離す。
「今聞こえむ、思ひながらぞやとて、―・ちて出で給ふを」〈紅葉賀
引いて開け放つ。強く開ける。
「寺の破れ戸を―・ち」〈人・梅児誉美・初〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「引放つ」の意味・読み・例文・類語

ひき‐はな・つ【引放】

  1. 〘 他動詞 タ行四段活用 〙
  2. 矢などを引いてはなつ。はなちやる。
    1. [初出の実例]「引放(ひきはなつ)(や)の繁けく 大雪の 乱れて来れ」(出典万葉集(8C後)二・一九九)
  3. ひっぱってはなれさせる。むりにはなす。
    1. [初出の実例]「この男の乗れる馬、ものに驚きて、ひきはなちて走りければ」(出典:平中物語(965頃)二二)
  4. 引いてあけはなつ。強くあける。
    1. [初出の実例]「かくぬる所まで入りたちて、うちわり、ひきはなちつらんを、とがめざりつらむは」(出典:落窪物語(10C後)二)
  5. 間をあける。間隔を置く。また、はなち書きにする。
    1. [初出の実例]「歌は、わざとがましく、ひきはなちてぞ書きたる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)早蕨)

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