張込(読み)はりこむ

精選版 日本国語大辞典「張込」の解説

はり‐こ・む【張込】

[1] 〘他マ下二〙
① 水などを順々に入れていっぱいにする。いっぱいに満たす。
拾遺(1005‐07頃か)物名・三九五「池をはりこめたる水のおほかればいひのくちよりあまるなるべし〈藤原輔〉」
② 網などを広げてその中に入れて出ないようにする。
※班子女王歌合(893頃)「春霞あみにはりこめ花散らば移ろひぬべし鶯とめよ」
[2] 〘他マ五(四)〙
① いっぱいに入れる。水などを入れていっぱいにする。
② (「貼込」とも) 中にはって固定する。台紙などにはりつける。
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉停留所「紅葉を引手に張り込んだ障子が」
③ 精出して努力する。力を入れる。意気ごんでする。
※歌舞伎・勧善懲悪覗機関(村井長庵)(1862)四幕「もうちっと張込んで遣って見ろえ」
④ (自動詞的にも用いる) 奮発して大金を投ずる。おおいに散財する。おごる。
※談義本・穴意探(1770)「ぐいと張込(ハリコン)で料理のへ」
⑤ 理屈を言って屈伏させる。文句を言ってねじこむ。
洒落本・浪花色八卦(1757)桔梗卦「サアといふと客にもはりこむ事きびしく」
⑥ 一定の場所に待機して見張番をする。見張る。
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「おいらんが〈略〉見勢さきにはり込んでゐたもんだから」
⑦ 張って固定する。張り渡す。
※近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉一一「陸よりを張込(ハリコ)み是にすがりて乗組し者は」

はり‐こみ【張込】

〘名〙
① (「貼込」とも) はりつけること。切りぬきなどをはること。また、そのもの。
造本印刷(1948)〈山岡謹七〉一二「別丁のはりこみ場所とゆうものは」
② 奮発すること。大金を投ずること。
※洒落本・秘事真告(1757頃)堀江の相「立かはり入かはり舩ゆき余所行芝居ゆき、存分の張込み芸者まじりにたいこ医者かしましく」
③ やりこめること。言い負かすこと。また、その文句。おどかし。悪口。
※談義本・根無草(1763‐69)前「無上にたれをかきさがしまわしたでのはりこみ悪たい」
④ 見張ること。張り番をすること。特に警官が容疑者の立回り先などに待機すること。
※海に生くる人々(1926)〈葉山嘉樹〉一二「絶えず警察から尾行されたり張込みされたり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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