化学辞典 第2版 「形状係数」の解説
形状係数(粒子の)
ケイジョウケイスウリュウシノ
shape factor
粒子群についての性質あるいは現象には,粒子の形状が影響することが多い.そこで,粒子群の性質ないし現象を数式で表したとき,式のなかに粒子形状を代表するある係数を導入することによって,その式がいろいろな形状の粒子にも適用できるようになる.この係数を形状係数とよんでいる.よく用いられるものに,体積形状係数 φv と表面積形状係数 φs とがある.なんらかの方法で測定した粒子径 Dp と,粒子1個の体積Vおよび表面積Sを関係づける係数で,次式により定義される.
V = φvDp3, S = φsDp2
粒子の形状が球の場合は,
φv = π/6,φs = π
であり,立方体なら
φv = 1,φs = 6 (ただし,立方体の1辺を Dp として)
となる.φv および φs は,同じ粒子でも,粒子径 Dp のとり方によって異なってくる.また,粒子の単位体積当たりの表面積,すなわち,固体体積基準の比表面積を sv で表すと,次式の関係が成り立っている.
ここで,
φ ≡ φs/φv
は比表面積形状係数とよばれ,球に対しては
φ = 6
である.
φc ≡ 6/φ
はカルマン(Carman)の形状係数とよばれ,球に対しては
φc = 1
となり,粒子群の表面積と粒子径との関係を扱う場合によく用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報