律集解(読み)りつのしゅうげ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「律集解」の意味・わかりやすい解説

律集解
りつのしゅうげ

平安時代前期に編纂された律注釈書。全 30巻。惟宗直本編といわれているが,官撰注釈書『令義解』編纂の際に集められた諸家の学説集が,のちに明法家の手に伝わり,書込みを加えられたとも考えられる。本書は,中世戦乱の間にすべて亡佚し,その内容は,諸書引用の逸文を集めて,推測するほかはないが,それによれば,その形式は『令集解』に似たものであったと思われる。本書を構成する法律書は,「古答」「律疏」「律附釈」「物記」などである。本書は平安時代末期以降,明法家によって大いに重んじられ,この書にひかれている説を「直説」と称し,後代の学説を「比説」とし,区別している。

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世界大百科事典(旧版)内の律集解の言及

【惟宗直本】より

…これは,かつて文徳天皇から〈律令の宗師〉とたたえられた讃岐永直(さぬきのながなお)が,その晩年にやはり私第で律令を講じた先例を襲ったものである。著書に《律集解(りつのしゆうげ)》30巻(現存せず),《令集解(りようのしゆうげ)》(もと50巻か。一部現存),《検非違使私記》2巻(現存せず)があり,曾孫の允亮(ただすけ)が著した《政事要略》に引用されている《交替式私記》(2巻か)も直本の著と推定される。…

【令集解】より

…編纂の時期は明らかではないが,860年代ころとみられる。直本は別に,養老律の注釈書として《律集解(りつのしゆうげ)》30巻を著したが,これは今日残されていない。 《令義解(りようのぎげ)》の編纂が公的事業として行われたのに対し,本書は私的に編したものであるが,先行の諸学説をそのまま引用することに重点をおいている点に,特徴がある。…

※「律集解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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