後なし(読み)うしろめたなし

精選版 日本国語大辞典 「後なし」の意味・読み・例文・類語

うしろめた‐な・し【後なし】

〘形ク〙 (形容詞「うしろめたし」の語幹接尾語「なし」の付いたもの)
※宇津保(970‐999頃)国譲上「昔より今まで思う給へあつめたることをきこえで、世の中になからんことなん、いとうしろめたなき心ちする」
※狭衣物語(1069‐77頃か)三「うしろめたなき御兄(せうと)の心ばへなり」
今昔(1120頃か)一九「前(さき)の世に、人の為に後めた无き心を仕(つか)ひ〈略〉如此(かく)(もろもろ)の悪き心を仕ひて」
[語誌](1)「蜻蛉日記」や「源氏物語」に用例が見られるが、写本によっては「な」のないものもあり、平安中期に発生したとは確定できない。平安後期以降に一般化しており、中世に至って用例が増加している。
(2)「拾遺抄註‐春」には、中世においてこの語は歌語に対する世俗言として意識されていたと見られる記述がある。
うしろめた‐なが・る
〘自ラ四〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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