化学辞典 第2版 「微小電極」の解説
微小電極
ビショウデンキョク
microelectrode
一般に,サイクリックボルタンメトリーにおいて用いられる電極で,文字どおり微小な電極である.通常の大きさの電極では物質の拡散過程は平面拡散として取り扱われるが,微小電極では球面拡散となる.逆に,物質の拡散が球面拡散として取り扱えるような電極を微小電極と考えると,どの程度小さいものが微小電極であるかは,ボルタンメトリーにおける電位走査速度に関係する.このため,通常の電極と微小電極の大きさの明確な境界値はない.50 mV s-1 程度での電位走査速度では,直径が数十 μm 以下の電極は微小電極といえる.微小電極には,電極面積が小さいために充電電流が少ないこと,電解電流が小さいために溶液抵抗によるオーム降下が小さく,電位規制が高抵抗の溶液中でも比較的容易であるなどの特徴がある.このような特徴のために,1000 V s-1 以上の高速走査のボルタンメトリーが可能であり,不安定な電極反応生成物の検出や大きな電極反応速度の決定に利用される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報