日本大百科全書(ニッポニカ) 「微胞子虫類」の意味・わかりやすい解説
微胞子虫類
びほうしちゅうるい
旧分類では原生動物門胞子虫亜門極嚢(きょくのう)胞子虫綱の1目として扱われた動物群であるが、最近、その構造の特異性から微胞子虫門が設けられ、その1目Microsporidaとなったものである。すべて動物細胞内に寄生する微小動物で、宿主(しゅくしゅ)は動物界全般にわたり、ヒトに脳炎をおこすノゼマ・コニコリNosema cuniculiのほか、ウナギの体表が凸凹になるベコ病病原体プリストフォラ・アンギラウムPlistophora anguillarum、ニジマスの体表が変色するグルゲア症病原体グルゲア・タケダイGlugea takedai、カイコの微粒子病病原体ノゼマ・ボンビシスNosema bombycisなど経済動物に被害を与えるものを含め約700種が知られている。3~5マイクロメートルの卵形微小な胞子が経口的に宿主に侵入し、消化管組織を経ておもに筋組織に達して増殖し、最後に多数の胞子を生ずる。これらは崩壊組織より脱し、水などの媒体を通してふたたび経口的に新宿主に入り、生活環を繰り返す。
[小山 力]