心臓反射(読み)しんぞうはんしゃ(その他表記)cardiac reflex

改訂新版 世界大百科事典 「心臓反射」の意味・わかりやすい解説

心臓反射 (しんぞうはんしゃ)
cardiac reflex

広い意味では,身体の各部の受容器に加えられた刺激や精神状態の変化に応答して,心臓機能が反射性に変動する場合をいう。とくに心臓機能として心拍数の変動をみることが多い。日常生活にみられる心臓反射としては,各種行動時に起こる動脈血圧,静脈環流,血中の酸素や炭酸ガス濃度の変動が血圧受容器や化学受容器を介して心臓交感・迷走神経活動を変化させることによる心拍数の調節がある。その他,体性感覚受容器として痛覚や冷覚刺激に対して反射性に心拍数は抑制される。また高位中枢神経の影響として,怒りや興奮により心拍数は増加し,恐怖や悲しみで抑制される。以上のような心臓以外に加えられた刺激に応答して起こる心臓反射のほかに,心臓受容器に加えられた刺激に応答して起こる狭義の心臓-心臓反射がある。この反射は心房,心室および冠血管に分布する受容器が出す神経情報に応答して,多くの場合心臓の過伸展を防止し,心臓を保護する方向に働いている。とくに心筋梗塞(こうそく)等心筋が障害された場合に重要となる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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