改訂新版 世界大百科事典 「心食虫」の意味・わかりやすい解説
心食虫 (しんくいむし)
borer
農害虫による食害は,植物の茎葉,心部,果実,幹,地下部におこるが,とくに心部,果実に食入する害虫を総称して心食虫といい,鱗翅(りんし)目のメイガ科,シンクイガ科のものが含まれる。そのうちナシヒメシンクイ,モモノヒメシンクイ,モモノメイガ(モモノゴマダラメイガ)の3種は,日本の果実加害性の代表的な心食虫で,いずれも果実表面に産下された卵より孵化(ふか)した幼虫が果実内部に侵入食害する。一方,アメリカ,ヨーロッパでリンゴの害虫として著名なナシヒメシンクイの近縁種コドリンガcodling mothは,日本への侵入が警戒されている。またダイズにはマメシンクイガ,ダイコンにはハイマダラノメイガのそれぞれ幼虫が,莢(きよう)部,心部を食害する。いずれの害虫も収量に大きな影響を与える。
執筆者:池庄司 敏明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報