ハイマダラノメイガ(その他表記)cabbage webworm
Hellula undalis

改訂新版 世界大百科事典 「ハイマダラノメイガ」の意味・わかりやすい解説

ハイマダラノメイガ (灰斑野螟蛾)
cabbage webworm
Hellula undalis

鱗翅目メイガ科の昆虫。翅の開張1.5~2cm。前翅は茶褐色白線が2本あり,中室端に白色線で縁取られた腎形紋がある。日本全国,アジア,アフリカ,ヨーロッパに広く分布し,太平洋の島々にも分布しているが,一部は人為的に運ばれたものと推定される。幼虫ダイコンカブハクサイ,キャベツなどアブラナ科蔬菜(そさい)の害虫で,年に3~4回発生するが,温暖地ではさらに1~2回よけいに発生する。幼虫で越冬。蔬菜の芽や虫糞をつづってトンネル状として,その中にすみ,中から出て食害する。ハクサイやキャベツの稚苗の芽を食べて枯死させることもある。秋の幼虫は,株もとの土中にトンネル状の巣をつくってその中に隠れ,夜出て食害する。とくに9月ころに発生が多く,ときには被害が非常に大きい。成虫は5月ころから見られるが,温暖地では12月まで出現し,よく灯火に飛来する。幼虫をダイコンノシンムシという。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイマダラノメイガ」の意味・わかりやすい解説

ハイマダラノメイガ
はいまだらのめいが / 灰斑野螟蛾
cabbage webworm
[学] Hellula undalis

昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科に属するガ。はねの開張10~18ミリ。前翅は灰褐色の地に白色の内横線と外横線があって強く屈曲し、横脈上にはソラマメ形の紋がある。後翅は白色であるが、外縁部は灰褐色。幼虫は体長約14ミリ。頭部黒色、胴部は黄白色、赤褐色の背線や気門上線が走る。アブラナ科野菜の害虫で、芽や虫糞(ちゅうふん)を綴(つづ)ってトンネルをつくって中にすみ、そこから出て食害する。年3、4回の発生であるが、温暖地では発生回数がさらに多い。日本全土、ユーラシアからアフリカに分布する。

[井上 寛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android