思取(読み)おぼしとる

精選版 日本国語大辞典 「思取」の意味・読み・例文・類語

おぼし‐と・る【思取】

〘他ラ四〙 (「おもいとる(思取)」の尊敬語)
① 心にお悟りになる。
源氏(1001‐14頃)鈴虫「いとど心ふかう世中をおぼしとれるさまになりまさり給ふ」
② 心にこうと思い定められる。決心なさる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「かかる住まひもおぼしたちけるを、これをいたづらになさぬにおぼしとりて、なほいで給へ」

おもい‐とり おもひ‥【思取】

〘名〙
① よく理解すること。心にさとること。
随筆独寝(1724頃)下「年より姑になると、思ひとりしてよめをかあひがる心底はなく」
② 決心すること。
※随筆・耳嚢(1784‐1814)一「両人の妻は菩提寺を頼み、出家染衣の身と成て念頃に菩提を弔ひければ、心ある親類などは、余りにおもひとりの過ぎたるならん」

おもい‐どり おもひ‥【思取】

〘名〙
① この人と思う人から杯を受けること。また、思うところがあって、差された杯を受けること。⇔思い差し
曾我物語(南北朝頃)六「その盃、義秀のみて面々にくだし、おもひざし、おもひどり、その後は乱舞になる」
② ほしい物を思いどおりに取ること。〔日葡辞書(1603‐04)〕

おもい‐と・る おもひ‥【思取】

〘他ラ四〙
① 心にさとる。思いわきまえる。
※源氏(1001‐14頃)早蕨「すべてなべてむなしくおもひとるべき世になむなどのたまふ」
② 心にこうと思い定める。決心する。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「もし心ならで参りこずとも、つとおもひとりてなんあるべき」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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