思立(読み)おもいたつ

精選版 日本国語大辞典 「思立」の意味・読み・例文・類語

おもい‐た・つ おもひ‥【思立】

[1] 〘他タ五(四)〙
① ある事をしようという考えを起こす。発起する。決意する。決心する。
古今(905‐914)離別・三七六「朝なけに見べき君としたのまねば思立(おもひたち)ぬる草枕なり〈〉」
徒然草(1331頃)五九「大事を思ひたたん人は、去りがたく心にかからん事の本意を遂げずして、さながら捨つべきなり」
② 意気込む。気負う。自負する。
狭衣物語(1069‐77頃か)三「我はと思ひたち、車どもの御簾下させて過ぎさせ給ふ」
[2] 〘他タ下二〙 決意する。決心する。
有明の別(12C後)下「我御くらゐのほど、人の御すくせ、いづれとてつつましからぬならねど、宮の御心などをおぼすに、こよなく思たてたるを、猶いと物しめやかなるほどに」

おぼし‐た・つ【思立】

〘他タ四〙 (「おもいたつ(思立)」の尊敬語) ある事をしようという考えを起こされる。決心なさる。
多武峰少将物語(10C中)「父おとどおはしけるほどは制しきこえ給ひければ、えおぼしたたざりけれど」

おもい‐たち おもひ‥【思立】

〘名〙 考えついて決心すること。ある事をしようという決心。
狂言記相合袴(1660)「ふん、これはよいおもひたちで御ざる」

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